コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

日テレ『上田と女が吠える夜』に感じた、人を叩きすぎない配慮――若槻千夏の“塩梅”に感嘆したワケ

2022/01/13 21:00
仁科友里(ライター)

 番組の後半では、ゲストに俳優・西島秀俊が出演。好きな女性のタイプを聞かれて「ごはんをおいしそうに食べる女性」と答えたところ、若槻は「食べます食べます食べます!」と挙手してみせた。これは本心というよりも、その場を盛り上げるためのサービスで、昭和的な古いノリといえるだろう。

 しかし、すべての言動が昭和なわけではない。「SNSにあふれる謎の自己主張」というテーマの際、若槻は「インスタのプロフィールのところにコメ印で『DMは事務所が管理しています』と書いてある、誰も知らねえ女っていません?」と聞いた。続けて「フォロワーがそんなにいないのに『DMは事務所が管理しています』。お前がしろよ!」と突っ込んだが、これはつまり、そんなに有名人でもないのに、事務所に守られていることをアピールするのは自意識過剰だと言いたいのだろう。

 若槻のような昭和生まれは、結果が伴わないのに自分を大きく見せることは「恥ずかしいこと」と教育された傾向があり、一昔前なら、この「誰も知らねえ女」は“勘違い女”と笑われたはずだ。しかし、SNSが出現し、我々は自分を好きなふうに見せるツールを得てしまった。「自分の価値は自分で決める」という言葉をよく聞くようになったが、その理論で言えば、たとえ人から見て売れていなくても、自分がタレントだと思えばそう名乗っていいし、「DMは事務所が管理している」と書いてもいいわけだ。

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