コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき118

死刑は犯罪抑止にはならない? 元極妻が考える「極刑」の重み

2021/11/07 16:00
待田芳子(作家)
写真ACより

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

死刑になりたくて無差別殺人

 最近、電車の中や駅構内での無差別襲撃が目立ちますね。被害者や関係者の皆様にお見舞い申し上げます。

 10月31日には、青年が電車の中でライターのオイルをまいて火をつけ、17人に切りつけるという事件がありました。現行犯逮捕された青年は、取り調べで「死刑になりたかった」と答えているそうです。

 死刑や無期懲役の刑を受けたくて無差別殺人を起こすというのは、昔はあまり聞きませんでしたね。たとえば2001年に8人の小学生を殺した宅間守(2004年に死刑執行)は、精神鑑定で「事件の前に自殺に失敗して、誰かを殺そうと思ったら元気が出た」と話したそうで、「死刑になりたくて」起こした事件ではないことがわかります。「早くオレを死刑にしろ」とかは言っていたようですが、なんだか強がりにしか聞こえませんでしたしね。

 「人生がツラいけど自殺できないから誰かを殺す」というのは、元極妻はサッパリ共感できませんが、思えばヤクザになるのも、たいていは人生がツラいからですけどね。まあ人を殺す時は、ヤクザは常に損得ずくですし、いわゆる過激派やカルト教団は自分なりの「正義」を掲げています。最近は、SNSなどから、こうした無差別殺人犯に共感する人たちが結構いる印象を受けます。

 死刑は、「悪いことをしたら死刑になる」という抑止力の意味もありますが、「死刑になりたい」という人には意味がないですね。また同じような事件は起こるのでしょうか?

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