コラム
[再掲]仁科友里「女のための有名人深読み週報」

瀬戸内寂聴さんが“悩み相談の達人”として人気だったワケ――「いい適当さ」を振り返る

2021/11/18 21:30
仁科友里(ライター)

 作家の瀬戸内寂聴さんが、11月9日に99歳で亡くなった。

 映画化もされた『夏の終り』、野間文芸賞を受賞した『場所』(いずれも新潮社)など多数の作品を残しただけでなく、テレビ番組で人々の悩みに答える姿が広く知られていたこともあって、この訃報にはネット上で衝撃の声が広がっていた。

 1956年に作家としてデビューし、数多くの恋愛小説や伝記小説を発表した寂聴さんは、数々の賞を受賞して人気作家として名を馳せる中、73年に51歳で出家。以降も小説を書き続けたものの、88歳と92歳で脊椎を圧迫骨折し、92歳の時には胆嚢がんが発見された。

 寝たきりで治療をする期間もあったが、今年8月30日に自身のインスタグラムを更新するなど、“生涯現役”を貫いた。

 大学在学中に結婚するも、夫の教え子と駆け落ちをしたり、作家・井上光晴と不倫関係にあったりと、スキャンダラスな恋愛をしてきたことでも知られている。ネット上には「なぜこの人がありがたがられているのかわからない」といった声も多いが、ライターの仁科友里氏は、かつて連載「女のための有名人深読み週報」の中で、あるテレビ番組に出演した際の発言をもとに、「国民的作家の人気の秘訣」を分析していた。

 寂聴さんが生前に残した“アドバイス”とは一体どんなものだったのか知るため、同記事を改めて掲載する。
(編集部) 


羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「言うこと、聞かなくていいの」瀬戸内寂聴
『快傑えみちゃんねる』(6月1日、関西テレビ)

 相談というプライベートなことを、わざわざテレビでやる時に問われるのは、“相談を受ける側がいかにテレビ映えする回答ができるか”である。かつて、自分の言うことを聞かない相談者に「地獄に落ちるわよ」と言い放った占い師がいたが、倫理面ではアウトでも、テレビで大ヒールを演じ抜いたという意味で大成功である。

 テレビにある程度台本はあるだろうが、シロウトさんにテレビ映えする回答は難しいなと思わされるのが、『怒れるオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)のお悩み相談コーナーである。

 5月26日放送の同番組で、タレント・熊切あさ美の「女優業にシフトしたいが、愛之助との破局のイメージが強すぎて敬遠される」という悩みに、敏腕選挙戦略家の鈴鹿久美子氏が回答していた。鈴鹿氏いわく、「37歳の生足は難しい」。“愛人イメージ”を払しょくしたいのなら、年齢にふさわしい、きちんとした格好をしろとアドバイスしていたが、ストッキングをはいたら、女優の仕事が来るのかは疑問である。また鈴鹿氏は、熊切に若い女性への恋愛アドバイザーになることを勧めていたものの、女優の比重を増やしたいという人に、違う職種を勧めるのは適切なのだろうか。

 これは、相談を受ける者として、鈴鹿氏がダメという意味ではなく、むしろ芸能人もしくは有名人がウマすぎると言うべきだろう。よく聞いてみると実質的なアドバイスはないのに、いいことを言ってもらった気にさせるのが日本一ウマい人、それは作家の瀬戸内寂聴ではないだろうか。

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