『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』息子べったりだった母が「もうママは面倒を見れない」と変わるまで「母と息子のやさしいごはん ~親子の大切な居場所~」

2021/10/04 18:59
石徹白未亜(いとしろ・みあ)
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月3日の放送は「母と息子のやさしいごはん ~親子の大切な居場所~」。

あらすじ

 東京大学がある文京区本郷。2020年1月、この地に開店した小さな定食屋「菊坂のやさしいごはん」は開店直後からコロナ禍に見舞われ、客足は伸びず赤字続きだ。定食屋は料理担当の息子・大貴27歳と、接客担当の母・貴美子63歳の親子二人で切り盛りしている。

 大貴は幼いころ、成績優秀で将来は弁護士になると夢を語っていたが、中学生で突然、不登校になってしまう。理由を話したがらない大貴を前に、貴美子は自分の育て方に問題があったのかもしれないと大貴を厳しくしつけたこともあったという。

 原因のわからない日々が続いたが、精神科を受診した大貴はアスペルガー症候群(発達障害のひとつ)の疑いがあると診断される。大貴が記した当時の日記と思われるノートには「学校へ行くとクラスの冷ややかな視線、家へ帰ると親の冷ややかな視線」と心境が記されていた。

 大貴は15歳以降は学校に行っておらず、自宅で引きこもっていたが、初めて作った料理を貴美子に褒められたことで料理人になろうと専門学校に通う。大貴を一番近くで見てきた貴美子は、神楽坂で経営していた自分の料理屋を閉め、息子を支える。

 しかしこだわりの強い大貴は、一般的に飲食店において「食材の原価は値段の3割」が目安と言われる中、980円のアジフライ定食に一匹200円のアジを2匹使うなど採算度外視の仕入れをする。都心の店舗の家賃もひと月20万円と重い。

 貴美子は店を開くために娘(大貴の姉)から借金もしていたようで、返済する様子も放送されていた。81歳で現役歯科医師でもある父・充明の稼ぎも、定食屋の運営に補填されていたと思われる。

 しかし、頼りの充明の歯科医院もコロナ禍により患者が減少。定食屋は1日も客が来ない日もあり、貯金はいよいよ底をつく。次回の家賃更新のタイミングで、店を閉めることを貴美子は充明に告げた。

しゃべらない息子と息子の世話を焼きすぎる母

 今回は、「私がいないと、あの子は無理だから」と息子の世話を焼きすぎていた母親が、「今度はパパもママも助けてやれないよ」と息子に話すまでに至る、母親の変化の話だったように思う。

 息子・大貴はとにかくしゃべらない。大貴が「可能性あり」と診断されたアスペルガー症候群は社会性・コミュニケーションにおいて困難を抱える障害であり、「自分の考えを話すこと」への抵抗は相当なものなのだろうと想像する。

 貴美子が買い出しでちょっと店をあけただけでも、大貴はその間にもし客が来てしまったらどうしよう、と明らかに動揺していた。

 そしてしゃべらない大貴の分、貴美子が大貴役まで引き受けて、しゃべりにしゃべっているように見えた。さらに貴美子は、大貴には甘いが、ほかの家族(夫、娘)の意見はほぼ聞かない。

 本郷は家賃がかかりすぎるから、もっと安いところに移転したほうがいいのでは、という娘(開業資金を貸している)のもっともな意見も一蹴。おそらく、店の運営費を出しているであろう高齢の夫・充明の、大貴に相談できる相手でもいてくれたら安心して死ねる(要は、彼女でも見つけたら)、という意見も、貴美子は大貴でもないのに「大貴は女の人に興味がないの」と返していた。

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娘でも同じようにべったりするかな?

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