『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』YouTubeと小説で稼ごうとする68歳、浮世離れした存在「ちょっと心配な家族がおりまして~母と私と姉夫婦の話~」

2021/09/27 17:45
石徹白未亜(ライター)
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月26日の放送は「ちょっと心配な家族がおりまして~母と私と姉夫婦の話~。

あらすじ

 茨城県鹿嶋市の実家で産休中の「私」の元に仰天の知らせが飛び込む。資産家と結婚し埼玉で暮らしている44歳の姉、千恵(以下、チエ)が貯えを使い果たし、夫・茂樹(以下、シゲキ)の親から譲り受けた一戸建てを売るというのだ。夫婦の預金通帳の残高はわずか4,873円。もともと実家の母からも金を借りていたようで、その金額は番組では公開されていなかったが相当な額だと思われる。

 チエは妹の「私」が物心ついたときからすでに心の病を患っており、中学2年生のとき不登校になり、のちにうつ病と診断されたという。チエは今も服薬と治療を続けているようだ。体調のいい時のチエはおっとり、のんびりとしてひょうきんな人、という感じだが、うつでふさぎこみ部屋にこもっている様子も伝えられていた。

 チエは通信制の大学に通い出した26歳の時、講師をしていた24歳年上のシゲキと出会い結婚する。シゲキは資産家の息子で、大学で法学を教えておりと、家族もこれで安心と胸をなでおろしていた。

 チエ夫婦は家だけでなく、シゲキの親から経済的援助を受けながら暮らしていたが、シゲキの両親は亡くなり、遺産も使い果たしてしまう。現在のシゲキは非常勤講師で月収は10万円程度。さらには年金を十分に払っていなかったようで、それもあてにならないようだ。

 ところが、シゲキはYouTuberや時代小説家として生計を立てるつもりでいると豪語し、小説は出版社から不採用の連絡が続くが、新作を前に「直木賞のパターン」と謎の自信をのぞかせる。YouTubeでは学問の話をテーマにしているようだが再生回数は振るわない。少しでも引っ越し費用の節約になればと、母と私はチエ一家の不用品の処分に行くが、2人が働いているのをよそに、シゲキはYouTubeの撮影をするからと言って部屋にこもる。

 家は無事売却となり、それに伴う事務手続きは全てチエが担当。慎ましく暮らせば数年暮らせるだけの蓄えを手に入れたものの、シゲキはほとんど弾かないグランドピアノを手放すのを嫌がり、新居まで持っていくことになる(ピアノだけで輸送費12万円で、母や友人に借りたという)。

 新居も都内の4LDKだ。シゲキよりは経済的な逼迫状況に自覚的なチエも、引っ越しに伴い家具を次々に買い足してしまう。チエ夫婦二人の引っ越した月の食費は月15万で、引っ越して3カ月後の生活費は月40万円を超えた(家賃は別)と番組では伝えられていた。なお、2人とも飲酒、喫煙はしないという。

 シゲキよりは経済的な心配を抱えているチエは、障害者就労支援により高齢者施設で時短勤務の体験就労を行う。ほとんど働いたことがないチエだが、職場ではにこやかで丁寧な対応をしていた。しかし、気持ちが落ち込む状況のときはマスクをしていても見るからにしんどそうな様子で、別の日は欠勤してしまう。

 一方、経済的な状況が心配な「私」はチエの相談員(おそらく福祉関係者)に話を聞く。相談員は「(精神的な問題を抱える人が遺産などの大金を手にしてしまうと)気分が上がった状態で、気が大きくなって、金銭感覚がすごく緩くなっていって、結構破綻しちゃう方もいたりするんで」と話し、対策として「家族が言うってよりは医療になってくるんです」と話し、訪問看護師が金銭管理の手伝いもしてくれるので、対策は早いほうがいいと話していた。

 その後、訪問看護師がチエの家を訪ねている様子や、番組の最後では4LDKの今のマンションより安い部屋を探そうと不動産屋を回るチエの姿が映された。

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