コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

「自己肯定感」は褒められても高まらない? 峯岸みなみ&田中みな実の「結婚して自信を持ちたい」発言は“ちょっと違う”と思うワケ

2021/07/15 21:00
仁科友里(ライター)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「私、自己肯定感低いっていうか」元AKB48・峯岸みなみ
『グータンヌーボ2』(関西テレビ)7月13日

 Twitterをやっていると、よく目にする「自己肯定感」という言葉。「自己肯定感を高める」ための書籍は書店にも多く置かれているので、今は自己肯定感ブームなのだろうが、果たしてこの言葉の正しい意味を知っている人は、どれだけいるだろうか?

 7月13日放送の『グータンヌーボ2』(関西テレビ)に出演したタレント・峯岸みなみは、結婚したい理由の一つとして「自己肯定感が低い」ことを挙げていた。「自分で自分をほめるとか、自分を認めてあげるという作業がめちゃ苦手なんですよ」「だから、常に近くにいて『素敵だよ』『カワイイよ』『一番だよ』って言ってくれる人と生涯共にできたらなって願望はあって」と発言していた。文脈から考えると、峯岸の言う「自己肯定感が低い」とは、「自分に自信が持てない」ことであり、だからこそ、ほめてくれる人と結婚して、「自信を持ちたい」と思っているのだろう。

 しかし、「自己肯定感」というのは、心理学的に言えば「自分は優れた存在だと思う、自分に自信を持つ」ことではないそうだ。むしろその反対で、「社会的に優れていない自分、ダメな自分も受け入れる」ことを指すという。峯岸のように「自分のダメな部分を他人にほめてもらうことで自信がつき、自己肯定感が高まる」と信じている人は多いだろうが、これは本来の意味とは少し違う。誰かにほめてもらわずとも、「欠点を含めて自分自身を肯定的に受け止める」ことができれば、自己肯定感があるということだ。

 具体的に、どういう状態を「自己肯定感が高い」と言うのだろうか。精神科医・水島広子氏は『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』(大和出版)において、「一人でいても、誰かから評価してもらなくても、安定した温かい気持ちになれること」「自分はこれでよいのだ」「自分は存在する価値があるのだ」と感じることと定義している。

 例えば、オリンピックの陸上競技で、金メダルを獲得した選手がいたとしよう。ある時、その人がケガをして、二度と走ることができなくなってしまった。もうオリンピックにも出られないし、メダルを取ることもできない。所属していた実業団はやめないといけないかもしれないし、収入も下がるだろう。そうすると、他人からはほめられず、社会的に優れた存在でもなくなるが、それでも「私はこれでよいのだ」と思える状態を、「自己肯定感が高い」と言うのではないか。

 だとすると、峯岸のような方法で自己肯定感を高めようとする時の盲点が見えてくる。「ダメな自分をほめてくれる人がいなくなったら、また自信がなくなる」可能性をはらんでいることだ。「〇〇がいれば、自信が持てる」という“条件付き”の自信や自己肯定感は、ホンモノではないといえるだろう。

 また、同番組MCの田中みな実は、「子どもにとって母親は自分だけだから、めちゃくちゃ子どもがいることで、自己肯定感が高まるかもよ」と発言していたが、彼女も自己肯定感の意味を誤解しているような気がする。小さい子どもは親がいないと生きていけないので、子どもから無条件に必要とされることで、自己肯定感が高まると考えているようだが、上述した通り、「○○だったら」という条件つきで成立する自信はニセモノであり、自己肯定感も高まらないだろう。なので、母親になれば自己肯定感が高まるという田中の理論は、ちょっと違うのではないか。

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