カルチャー
居住支援の現場から【3】

「息子と一緒にいるのが苦痛だった」引きこもる子どもを“シェアハウス”へ――入居が変えた母親との関係

2021/05/09 18:00
坂口鈴香(ライター)

 何が幸いしたのかはわからない。祐樹さんも何も言わないが、この仕事――ライン工は祐樹さんにとっては「不本意な仕事だった」と若宮さんは言うが、すでに半年続いている。

「通勤に家から1時間以上かかっているんですが、真面目に勤めているようです。残業もあるんですが、その分給料も良いので、それで続いているのかなと思います。この間、はじめて食費を入れてくれたんですよ」

 そしてついに、たまっていたシェアハウスの家賃も返済することができた。浅井さんからは、「これが最後とはならないかもしれないが、今は仕事を続けてくれているのがうれしい」という返事が来た。

 「食費を入れてくれた」「スキーに行きました」……若宮さんは浅井さんに、祐樹さんの様子を時々報告している。「浅井さんと連絡を取らないで済むようになるのが一番いいことだと言ってくれていますが、まだつながっていないと不安で……」浅井さんがいなかったら、自分も祐樹さんもどうなっていたんだろうとゾッとするという。

「入隊前に出た喘息はあの時だけでした。あれは自衛隊には入るなということだったと思っています」

 仕事が非番の祐樹さんに聞こえないようにと、別室に移動しながら若宮さんは話してくれた。若宮さんのこれまでの心労を思うと、これで祐樹さんが落ち着いてほしいと心から思った。

それにしても、祐樹さんの“反乱”は何だったのか――。

――続きは5月23日

 

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2021/05/09 18:45
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