カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」10月号

「VERY」が警笛、コロナ禍の「ていねいな暮らし」ブームのリスク! 「日々を工夫して楽しむ」主婦は危険を孕む?

2020/09/22 18:00
中崎亜衣(ライター)
「VERY」(光文社)

 9月7日に発売された「VERY」(光文社)。秋向けファッションが並びつつも「新しい生活様式」「アフターコロナ」などの言葉が随所に散りばめられ、コロナ前の世界には戻れないのだと実感しますね。コラム系でも多くがコロナ禍に言及しており、先月までコロナなんてどこ吹く風の様子だった“みっこ”こと矢野未希子でさえ、帰省できないことに連載で触れています。

 というわけで、「VERY」ではコロナ禍をどう受け止めているのか、読み物企画を中心にチェックしてみました。

<トピックス>
◎アフターコロナの世界をひらく言葉
◎ママになったら『受け流し力』。
◎育てたいのは『根拠のない楽観性』

コロナで人は変わらない。けれど意思表示を「発信」できる時代

 「アフターコロナの世界をひらく言葉」は、ブレイディみかこ氏、スプニツ子!氏、朱野帰子氏、神田伯山氏、古舘理沙氏、王谷晶氏、岡田育氏、金原ひとみ氏、大塚英志氏、綿矢りさ氏、計10名へのインタビューが掲載されている企画。それぞれが、コロナの「後」の世界でどう生きるかについて語っています。

 例えば、ブレイディみかこ氏は、ロックダウン中も「友達とオンラインでつながっていて、あまり不自由していないよう」だった中学生の息子に、「コロナを経て、人間は変わるか?」を聞いたといい、彼の答えは「変わるわけないじゃん」。ブレイディさん自身も、「人間はすぐ忘れる」と思っているそうです。しかし、「ただ一つだけ希望があるとすれば、それは次の世代。子どもたちは、半年も学校に行けなかった今回の出来事を忘れないでしょう」と話し、この経験が、世の価値観を変えていく可能性があるかもしれない、それが希望だと言います。未曽有のコロナ禍、大人たちはあたふたするばかりで、そんな大人たちに子どもたちが何を感じ取っていたのか、これからわかってくるでしょう。

 また、Webちくまのエッセイで、政府の「新しい生活様式」「ステイホーム」推進は、戦時下の「新生活体制」を想起すると指摘した作家・大塚英志氏の言葉も目を引きます。「非常時だから自粛せよという流れの中で、『日々の暮らしを工夫しながら楽しむ』ことを、ある種のエンターテインメント的に与えられて、主婦たちは知らず知らずのうちに戦時体制に巻き込まれ」た時代と、近年の「ていねいな暮らし」「断捨離」ブームには似通うものがあるとのこと。背筋の凍る警笛です。

 確かに「楽しむ」という言葉、危険を孕んでいるような気がします。「楽しんだ者勝ち」「人生楽しまなきゃ損」という言い方をされることもあり、たとえば受験勉強とかならば、楽しみながら行えるのがベストでしょう。でも、ブラック労働のような理不尽な状況は? たとえ本人が心から楽しんでいたとしても、そこには「やりがい搾取」という実態が潜んでいたりしますから……。

 一方で大塚氏は、今は女性にも参政権がありSNSという発信ツールもあるのだから、「私は嫌だからね」と意思表示することが大切だとも語ります。大人になると諦め癖がつきますが、希望を捨てずに発信することを忘れずにいたいですね。

アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト