カルチャー
悪いことばかりじゃない?

付録ナシで雑誌を値下げ、発売日は遅延……新型コロナで打撃も「出版社にはプラス」!? 業界関係者が語る

2020/03/29 19:00
昼間たかし
VLG / iStock / Getty Images Plus

「もしかしたら、自分の本も発売日が後ろにずれるかもしれません……」

 3月末に著書を出版予定の知人の作家からそんな話を聞いたのは、2月中旬のこと(結局間に合ったので一安心だが)。それから1カ月あまり、新型コロナウイルス感染症の拡大は、出版業界にも徐々に影響を及ぼし始めている。なにしろ出版社のメインコンテンツは、雑誌や書籍などの印刷物。このまま感染が拡大すれば、工場の作業員にも自宅待機が命じられ、印刷もままならなくなるのではないかという懸念が生じる。ある出版社の社員は語る。

「先日、立ち会いで某大手印刷工場に出向いたところ、工場内はマスク着用が原則でした。内勤者は在宅勤務もできる準備を進めているようですが、印刷工場はそうもいかず、マスクの着用でしのいでいるそうです。もしも感染者が出てしまえば、工場内の消毒作業などで数日間生産は停止。濃厚接触者は自宅待機となり、通常通りの稼働が困難になるのは簡単に想像がつきますから、手洗いやうがいを徹底した上で、あとは感染者が出ないことを祈りつつ、雑誌や書籍の印刷を続けているようです」

 すでに目に見える形で起こっている出版業界への打撃としては、雑誌の付録が挙げられる。付録のほとんどは中国の工場で製造しているため、感染症拡大の影響をダイレクトに受けているのだ。小学館が発行するライフスタイル誌「サライ」では、4月号で予定していた「帆布肩掛けバッグ」を付録につけられず、当該号980円(税込)の価格を780円(税込)に値下げ。集英社の女性向けファッション誌「Marisol」も、4月号で予定していたランチバッグとポーチの付録が、生産の都合で5月号に延期され、980円(税込)から880円(税込)に値下げして発売された。ほかにも、発売日を遅らせるなど、対応に追われる雑誌が続出している。

「大きな損害が出ている実感はありませんが、売り上げが減るのは確実。特に女性向けを中心に、豪華な付録のおかげで売り上げを確保している雑誌は多いんです。価格を下げたからといって、付録なしで売れるとは思えません。それに加えて、コロナのせいで、いよいよ今の出版業界の仕組みも崩壊するんじゃないかと戦々恐々としていますよ」(大手出版社の編集者)

新型コロナが、出版業界の「流通」の仕組みを変える!?

 崩壊を予期させる背景には、出版業界独自の流通システムが関係しているという。

「出版業界では、休配日を除いて月~土曜日まで毎日、書店に雑誌と書籍が配送されます。このシステムはもともと、雑誌が毎日のように発売されていた時代に構築されたものなのですが、出版不況により雑誌の休刊が相次ぎ、発行部数が減った現在では、何度もシステムの見直しが議論されているんです。『土曜休配日の増加』や『出版社が輸送経費をもっと負担するべき』という意見が出ているものの、結論はいまだ出ていません。コロナの影響で、付録がつけられず休刊に至る雑誌が相次げば、否応なしに流通システムに抜本的な見直しが行われるでしょうし、その結果、流通経費が増え、本の価格が上昇。業界全体が落ち込む暗い未来も考えられます」(同)

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