カルチャー
【前編】朝日新聞社・仲村和代記者インタビュー

ファストファッションの功罪――「安くておしゃれな服」を支える過酷な労働環境と大量廃棄

2020/03/04 21:00
サイゾーウーマン編集部
『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』(光文社新書)

 短いサイクルでの大量生産・販売によって、流行の商品を低価格で販売するファストファッション。私たちの生活にすっかり定着し、誰しもクローゼットに1着はあるのではないだろうか。そんな中、2019年10月末をもってForever 21が日本市場から撤退するなど、ファストファッション離れとも言えるニュースが飛び込んできたが、背景には、ターゲット層だった若い世代の意識が変化し、長く着られるアイテムを選ぶ傾向になったという一面があると言われている。そこで今回、ファストファッションの製造工場の実態を『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』(光文社新書)を共同執筆した朝日新聞社の仲村和代記者にうかがった。

ファストファッションを支えるバングラデシュ女性の苦悩

――なぜファストファッションブランドは、洋服を低価格で販売できるのでしょうか。

仲村和代さん(以下、仲村) 原料を大量に仕入れ、大量生産・販売することで、洋服1枚当たりのコストを抑えているからです。もう一つのカギは人件費。洋服作りの工程は機械化されていない部分が多く、また効率化したいからといってどこかの工程を省くというわけにもいきません。このため、人件費の安い開発途上国の工場で生産することによって、コストカットしています。以前はアパレルの生産拠点といえば中国でしたが、最近はバングラデシュがさらに安い人件費を「武器」に大手企業の誘致を進め、「世界の縫製工場」と呼ばれるようになりました。

 明治時代の日本をイメージしてもらうとわかりやすいと思うんですが、繊維産業は工業が発展する最初の段階で興るもの。アジアの最貧国といわれたバングラデシュで、発展を目指して国を挙げて力を入れたのがアパレル産業でした。そこで強調されたのが、その労働コストの安さ、つまりは賃金が安いこと。それが、安く服を作りたいと考えていた先進国のアパレル企業のニーズと一致したのです。

 バングラデシュの工場では、経験の浅い人でもすぐに働けるように作業が細分化されています。例えば、「ひたすら右の袖のボタン付けだけを行う」という担当の人がいる。このため、1枚の洋服を作るために働く人の数が多くなり、一つの工場へのロットが大きくなります。1人の職人が全ての工程を担うような日本の工場だと、1桁単位の発注も可能ですが、バングラデシュとなると、数千単位での発注が求められる。それでも、日本で何着か作るより、バングラデシュで数千単位で作ってもらう方が、かえって安い、なんてことになるわけです。

 働く側から考えると、さまざまな工程を経験できる機会が得られず、ずっと同じ作業だけ担うため、スキルアップができず、賃金アップにもつながらない、という側面があります。

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