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インタビュー

厄年は「気にしなくても構わない」!? 専門家に聞く、“語呂合わせ”の成り立ちと重要度

2020/03/05 16:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

――言語だけでなく、宗教の違いが大きく影響しているのですね。

石井 そういうことです。例えば、キリスト教では「神が言葉を与えた」とされるので、言葉自体に良し悪しがあってはならないですし、勝手に変な意味を与えるのもよくない。なので、言葉を構成する音や文字が特別な意味を持つ「言霊」という発想は、そもそも出てこないのです。

 仏教は特に“因縁”を重視し、「原因があって結果が起こる」という考えがあります。ここに「言霊」の発想を組み込むと、「悪い言葉を口にすると、良くないことが起こる」と考えるようになる。よって「4(死)」や「9(苦)」を避けるようになり、厄年といった文化も生まれるわけです。

――そうなると、仏教徒でもない限り、厄年にあまり深い意味はないように思えます。語呂合わせの文化というのは、どの程度重要視するべきなのでしょうか?

石井 厄年に科学的根拠はありませんが、心理的な効果が非常に高いです。「災いが降りかかる」ことをまったく信じない心の強い人は、厄年を気にしなくても構わないと思います。とはいえ、科学的根拠がないのに、長年続いている文化というものは、厄年に限らず「念のため気にしたほうがいい」というのが、私の考えです。科学的根拠がないということは、「これから根拠が証明されるかもしれない」ということでもありますから。

 先ほども言った通り、厄年は「言霊」をベースにした語呂合わせによるものなので、科学的な根拠うんぬんというより、「人の気持ちにどう作用するか」という問題です。なので、「なんとなく厄年が気になる」ということであれば、お祓いをしたり、お守りを買ったほうが、少なくとも心理的に良い効果があるでしょう。

■石井隆之(いしい・たかゆき)
1956年大阪府生まれ。河合塾英語講師、サイマルアカデミー英語講師、武庫川女子大学・京都橘女子大学・摂南大学非常勤講師を経て、現在、近畿大学総合社会学部教授、京都女子大学・滋賀県立大学非常勤講師、言語文化学会会長、通訳ガイド研究会会長、アクティブ英語クラブ会長、一般社団法人 高等教育国際基準協会代表理事、日本文化体験交流塾理事。主な研究分野は、理論言語学。特に英語と日本語の文法を研究し、言葉の面白さや文化の奥深さなどを発信している。

最終更新:2020/03/05 16:00
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