【再掲】痴漢抑止活動センター・松永弥生氏

シヤチハタ・痴漢撃退スタンプが完売も――2016年の“痴漢抑止バッジ”の効果とその後

 今年5月にSNSを中心に議論が巻き起こった“痴漢を安全ピンで撃退すること”の是非。そんな中、文具メーカー・シヤチハタの公式Twitterアカウントによるツイートが注目を集めた。

「今現在Twitterで話題になっている社会問題の件ですが、早期に対応ができるようにします。ジョークではなく、本気です」

 それから約3カ月後、実際に同社は痴漢を抑止するためのグッズとして「迷惑行為防止スタンプ」をテスト販売。スタンプを押された部分にブラックライトを当てると、手のひらのマークの印影が浮かび上がるという仕様だ。携帯用のブラックライトも付いて2500円(税別)で、販売数500個は即完売になったといい、テレビをはじめとしたマスコミは盛んに報じている。

 ネット上では、「痴漢撃退スタンプは現行犯逮捕にはならないだろうが、抑止力にはなる」「絶対イジメの道具にされる」「冤罪が増える。適当に押して犯人にできるんだから」と、賛否両論の意見が飛び交い、痴漢をめぐる議論が再熱している状態だ。

 このスタンプより以前、2016年に痴漢対策ツール「痴漢抑止バッジ」が販売された当時も、さまざまな意見がネット上に書き込まれ注目を集めていた。サイゾーウーマンでは、18年に「痴漢抑止バッジ」の制作・普及を進める痴漢抑止活動センターの代表理事・松永弥生氏に取材し、普及状況や効果について、そして世間からの反響について話を聞いている。バッジの販売によって、痴漢をめぐる状況は何が変わり、変わらないままだったのか? 記事を再掲するこの機会に、ぜひ読んでいただきたい。
(初出:2018年4月4日)

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 「痴漢は犯罪です」「私たちは泣き寝入りしません」そんなフレーズが書かれたバッジ「痴漢抑止バッジ」。女子高生が考案した「痴漢抑止カード」をもとに、「かわいくてつけやすいものを」とデザインを公募し、2016年に誕生した。その後、多くのメディアで取り上げられた痴漢抑止バッジだが、現在はどれぐらい広まっているのか? なにより効果はあるのか? 性犯罪防止・抑止のためにバッジの制作や普及を進める「一般社団法人 痴漢抑止活動センター」代表理事の松永弥生さんに話を聞いた。

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「一般社団法人 痴漢抑止活動センター」代表理事の松永弥生さん

共感が広がる一方で、課題も

 松永さんはバッジを普及させるために、防犯キャンペーンなどの無料配布ではなく、流通に乗せたいと考えている。「キャンペーンでは、その時その場にいた人しか入手できません。防犯ブザーのように必要とする人が、いつでも手に入れられるようにしたい」というのが理由だ。営業は未経験だったが、商談会にも参加し、販路を求めた。

 初めての商談会で、イトーヨーカドー津久野店と商談が成立。16年10月に販売がスタートした。バイヤーは、新聞記事で痴漢抑止バッジを知っていたそうだ。17年2月には、別の大手スーパーでも期間限定で関西の10店舗、3月に南海電鉄が運営するコンビニ「アンスリー」20店舗で販売。夏には首都圏にも進出。小田急電鉄と相模鉄道の売店、原宿竹下通りの雑貨店「ハッピーワン」で取り扱いが始まった。18年3月からは東急ハンズあべのキューズモール店で、防犯ブザーと同じ棚で販売されている。

「かつて自分も痴漢被害に遭い、悔しい思いをしたという女性バイヤーさんや、この活動に意義を感じた男性のバイヤーさんが、積極的に上司に掛け合ってくださり、実現しました。駅構内や駅の近くのお店は、特に売れ行きがいいです」

 現在、痴漢抑止バッジは約6000個普及しているそうだ。引き続き、駅ナカ・駅チカ店舗に向けて営業活動を続けているが、バッジを扱ってもらうには大きく分けると2つの課題があるという。

「バッジは利益が出にくい商品なのです。食べ物や消耗品ではないので、次々売れることはありません。また、このバッジは利幅が少ないので、売れたとしても大きな利益にならないのです。特に駅のコンビニは商品がよく売れる立地で、かつ坪数が狭い『激戦区』。坪数に応じて売り上げを上げないといけないので、簡単には置いてもらえません」

 さらに利益の面だけではなく、鉄道系列ならではの事情もあるらしい。

 バッジを紹介したバイヤーさんが関心を持ち、上司に話を上げてくれても、「このバッジを売店で売っていたら、痴漢が多い鉄道だと思われる」と却下されたことがあったという。「三大首都圏は、どの路線も痴漢が多いんですけどね」と松永さんは苦笑する。

「『ほかの鉄道会社と足並みをそろえ、一斉に販売できるなら扱う』という会社もあります。痴漢が減るのは鉄道会社にとっても大きなメリットだと思いますが、ブランディングイメージも大切なのでしょう」

 なかなか順調に進まないバッジの普及。しかし、松永さんは手ごたえを感じているという。

「取扱店舗は増えていますし、警察からの共感も得られ、防犯キャンペーンにバッジを使っていただくこともありました。社会が少しずつ、痴漢抑止バッジを活用する方向に動いていると感じます」

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