カルチャー
[官能小説レビュー]

あいみょんも愛読する、官能小説好きのバイブル『官能小説用語表現辞典』

2019/04/22 19:00
いしいのりえ
『官能小説用語表現辞典』 (ちくま文庫)

 4月2日に放送された『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)をご覧になった方はいないだろうか? 人気急上昇中の若手女性アーティスト・あいみょんが出演、彼女の楽曲は官能小説からインスピレーションを受けていると話し、その日のタモリ倶楽部は「官能小説特集」となった。

 番組内では3社の出版社の官能小説を担当する編集者が、あいみょんの曲作りのヒントとなりそうな描写が収録されている作品を紹介。官能小説好きであれば思わずニンマリとしてしまう、草凪優の代表作『どうしようもない恋の唄』(祥伝社)や、団鬼六賞受賞作である、うかみ彩乃の『蝮の舌』(イースト・プレス)などが紹介され、性描写が朗読された。

 筆者にとっては日常である官能小説と『タモリ倶楽部』がリンクしたその日は、とても感慨深い夜であった。

各社がイチオシの官能小説を紹介する間に挟まれたコーナーでは、官能小説好きのバイブルとなっている『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫、編集:永田守弘)を紹介していた。番組ではあいみょんが持参してきた私物を映していたが、数え切れないほどの付箋が貼られていたことから、彼女がどれだけこの作品を深く熟読していたかが見て取れる。

 本作は、官能小説で使われている約2300の用語や表現をまとめた、日本で唯一無二の「官能小説用語辞典」である。女性器ひとつ取っても、官能小説では無数の表現を使用している。

 本作は「絶頂表現」「女性器」「オノマトペ」のように、単語がカテゴライズされており、例えば「女性器」のカテゴリの中には 「悦楽の宝庫」とある。これは官能小説家のレジェンドである団鬼六氏の『お柳情炎』(幻冬舎)に書かれている表現だ。これをどのように使用しているかを、作中から引用している。このように、官能小説600冊以上の中から永田氏が隠語をセレクトし、一冊にまとめているのである。各カテゴリーは五十音順に掲載されているので目当ての単語が引きやすい。まさに「辞書」なのである

 中には、つい吹き出してしまうような面白い表現や、あいみょんのように切ない歌詞に使用できそうな表現もある。彼女が番組内で気に入っていた用語は、絶頂時に表現された「潤んだ瞳は見開かれて」だ。

 あいみょんのように自分自身の表現方法の手段としてはもちろん、眠れない夜に酒でも飲みながらぼんやりと眺めているだけでも楽しめる、官能小説好きは必読の一冊である。
(いしいのりえ)

最終更新:2019/04/22 20:40
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