カルチャー
映画『SCOPE』上映会レポート

性犯罪者は生きるために再犯するーー厳罰化で被害者は減るのか?

2017/06/03 15:00

白鷗大学法学部の平山真理教授

 会場からは、児童への、特に家庭内での性暴力についての質問が寄せられた。篤夫のように刑に処せられることもないどころか、この場合の加害者の多くは、加害者としての自覚もなく、のうのうと生きている。社会は、彼らをどうしていくべきか?

平山 今回の刑法改正案では、監護者、つまり18歳未満の子どもと生活を共にしたり、その身の回りの世話をする者が、その子にわいせつ行為や性交をした場合、そこに暴行や脅迫がなくとも、性暴力と見なし、罰することも盛り込まれています。けれど改正されたとしても、子どもが大人を加害者として突き出すのはハードルが高すぎますよね。子どもたちが被害を相談しやすい体制づくりを急ぐ必要があります。

卜部 自覚していない人に自覚させ、反省していない人に反省させるというのは、非常に難しいですよね。篤夫はある出来事を機に自分で気づいて、反省し、謝罪をしました。人から無理やり自覚させられたり、反省を強制されたりしても、それは真の自覚や反省にならないように僕は思います。

斉藤 私たちがまず家庭内性虐待加害者の実態を知ることが、発生そのものを減らすことにつながると思います。これは性暴力全般にもいえることで、昨今は以前よりもその実態が社会で知られるようになってきましたが、それでもまだまだモンスター的な存在として描かれるなど、ゆがんだ加害者像が根強いと感じています。これでは加害者は社会の目をすり抜け、野放しになってしまいます。彼らのリアルを広く伝えていくことが、私たちの役目ですね。

 加害者の実態を知らないことは、加害行為を見逃すことにつながる。それは加害者にとって都合のいい社会にほかならない。さらには、一度罰を受けて社会に出てきた加害者に二度と罪を犯させないようにするには、どうすればいいのか? 仮にSCOPE法のような矛盾を孕んだ刑罰が将来検討されるとして、本当にそれが再犯防止につながるのか……? 映画『SCOPE』が投げかける問いは、重い。
(三浦ゆえ)

最終更新:2017/06/03 15:00
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