芸能
「空港芸人」「インスタ芸人」の異名も

浜崎あゆみのインスタはなぜ注目されるのか? 歌姫の「加工修正だらけ」の顔がもたらす快感

2017/05/10 21:00

 2000年代前半には、女子高生のカリスマといわれた“歌姫”浜崎あゆみ。時は流れて、浜崎は現在38歳。全盛期の彼女に夢中になっていた世代も、いまや30代になった。浜崎は歌手としての活動で注目を浴びることが少なくなってからも、トレンドを作り出す立場に輝き続けている。

 例えば、熱愛・結婚・離婚の報道が出るたびに、空港で報道陣の前を通り過ぎる儀式を繰り返して、「空港芸人」という新しい言葉を創出。最近では、インスタグラムを更新するごとにネットニュースに取り上げられるようになり、「インスタ芸人」という称号も手に入れた。更新されるインスタのコメント欄は、ファンからの「かわいい」「セクシー」といった誉め言葉だらけだが、ネットニュースのコメント欄は真逆で「加工しすぎ」「痛い」などの言葉が並ぶ。なぜ彼女のインスタはネットをこんなに湧かせるのだろうか。

 誰もが気付く通り、一番の理由はインスタ写真の姿とテレビ出演時の姿の差が激しいことだ。インスタでは全盛期そのままの20代のような容姿を披露しているが、たま~にテレビに出演すると年相応の体形や、お肌に異物を注入したかのような不自然な顔の引きつれ、しわ、表情が目立ち、その落差に視聴者は驚いてしまう。浜崎のインスタ写真は、体を細く見せたり、肌の粗を消したりする加工修正がされていることは、ネット上で多く指摘されている。いわば脳内で見ている理想の自分像が、そのまま写真に表現されているのだと思われるのだ。他人の脳内なんて滅多に覗かせてもらえるものではない。それがあっさりと覗けてしまうことへの非日常感に、私たちは、“やられて”しまうのかもしれない。

 現実と脳内の姿の差があればあるほど恥ずかしいことだというのが、一般的な感覚。しかし浜崎は、それを惜しげもなく披露してしまう。だから私たちは、浜崎が「どうして私は写真写りが悪いのかしら」「おかしい、テレビ映りはもっと悪いわ……」とつぶやきながら修正作業を行っている姿を妄想してしまう。かつてカリスマといわれた存在の滑稽な姿。それをリアルに想像できてしまうのが、彼女のインスタ。たまに自撮りではない写真に、プロカメラマン(いつも決まった人物)のクレジットを入れて投稿することもある。不思議なことに、その写真もテレビ映像とはまったく違い、抜群に写りが良い。浜崎が見たい世界だけを提供してやれる者だけが、彼女の近くにいることを許されるのだという闇を見せられているようで、そこにも我々はゾクゾクしてしまうのではないだろうか。

 久々の動く姿を見せた4月の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演後も、ネット上にはインスタ写真との落差を指摘する書き込みがあふれた。数日後、浜崎は自身の横顔の写真と共に、「何をしてもしなくても、これからも指差されるんだろう。許されはしないんだろう。それは誰のせいでもない、ただの自業自得だ」と意味深なポエム文を投稿した。何を言いたいのか不親切な文章だが、「加工してもしなくても、これからも指差されるんだろう。それは誰のせいでもない、ただの自業自得だ」と読み換えると納得できる。今後も浜崎の脳内自分像を覗いていきたい。

大江綾子(おおえ・あやこ)
日夜、テレビや週刊誌、芸能人のSNSなどをウォッチングしているライター。どこか癖のあるニオイを放つ女性タレントがお気に入り。

最終更新:2017/05/11 15:59
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