カルチャー
太田啓子弁護士インタビュー第2回

相手がセックスに合意していたと思ったから無罪? 強姦罪の立件が難しい理由

2016/11/30 15:00
太田啓子弁護士

 芸能人の強姦事件から職場のセクハラまで、女性の性的な被害が話題にならない日はない。なぜ被害はなくならないのか? セクシャルハラスメントの問題に詳しい、太田啓子弁護士に話を聞く。今回は、高畑裕太の強姦致傷罪での不起訴について解説してもらった。

(第1回はこちら)

■被害女性を傷つける、示談後の紛争蒸し返し

――セクハラ被害が問題になるたびに、男性側の勘違いがあらわになるケースも多い気がします。

太田啓子弁護士(以下、太田) たとえば9月に強姦致傷罪の容疑で逮捕・勾留されていた俳優が不起訴になりましたが、彼の弁護人のコメントには、かなり違和感がありました。

 示談成立について、弁護人側は検察官には伝えなくてはなりませんが、メディアへあのように発表することの是非には議論があると思いますね。ずいぶん報道されましたから、被疑者の名誉を少しでも回復しようという意図ではあったのでしょうし、その考え方自体はわかります。それにしても、内容については、問題が多かったと考えています。

――具体的には、どこが問題だと感じましたか?

太田 「知り得た事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く」とか、「違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております」、要は、別に悪いことをしたわけではないのだ、というような認識を示談後に発表するのは、被害申告を受けた女性を傷つけるものだろうと非常に気になっていました。

 そもそも、こういう場合の示談とは、事実関係についての認識のギャップを踏まえつつ、「それでもまあ、お互いに紛争を早期解決することを重んじて、認識の違いはこれ以上言わないことにして終わりにしましょう」というものなので、一方のみの事実関係についての認識を公に発表するのでは、紛争の蒸し返しのようなことになってしまいます。蒸し返したら他方から反論もあり得ますので、紛争が収束しませんよね。示談後の紛争蒸し返しというのは、弁護士としては通常、最も避けようとすることなので驚きました。

 そのため、数日後に「あの弁護人コメントは女性の承諾を得ているのだろうか」とブログに書いたりもしたのですが、当時は被害女性側の声は何も聞こえてきていなかったこともあり、弁護士仲間同士では、「もしかしたら、ああいう内容をメディアに発表してもよい、という承諾を女性側から得た上で、その分、ある程度高額な示談金で示談した可能性もあるのかもしれないね」などという臆測もしていました。めったにないことではありますが、もしも女性側が承諾している範囲の「蒸し返し」であるなら、まあ、いいのかも、と思わなくもなかったのです。

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