[サイジョの本棚]

少年愛を描いた『風と木の詩』の裏にあった、竹宮惠子と萩尾望都の短くも濃い友愛

■『俺たちのBL論』(サンキュータツオ・春日太一、河出書房新社)

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 「腐女子」「BL」という言葉が定着しつつある2016年。『少年の名はジルベール』とほぼ同時期に出版された『俺たちのBL論』は、1970年代に生まれた異性愛者の男2人による、男性がBLを堪能するための、男性向け入門本だ。

 芸人で一橋大学非常勤講師である“腐男子”サンキュータツオが、「素質がありそう」と見込んだ時代劇研究家・春日太一に、BLの魅力を指南する形式で進む本書。まだ混同されやすい「腐女子=女性のオタクではない」「腐男子=ゲイとは限らない」「BLとやおいの違い」といった初歩的なところから説明し、推薦本読書や、「やおい的妄想ノック」を通して、春日氏をBLの魅力に開眼させていく。

 「やおいとは余白を補完する“妄想天下一武道会”みたいなもの」「男性が百合作品を楽しむのと、一部の腐女子のBLの楽しみ方は通じるところがある」など、あくまで腐女子向けではなく、一般的な男性文化に浸かってきた人に伝わりやすい言葉を使って、論理的にBL文化が解説されていく本作。そのため、女性が読めば、男性間で恋愛がどのように扱われるのか、エンタメコンテンツをどのように消費しているのか、その一端を知ることができる男性文化論にもなっている。

 しかし、本作で見られる最も新しい考察は、BLでは避けて通れない「男性同士の性描写」について触れた後半だ。BLに慣れる前は、少なからず「男同士の絡みの描写を読むのはキツい」と思っていた2人。どのように解釈して慣れていったか、そして性的に興奮するか/しないかについて踏み込んだ結果、「『射精して終わり』じゃないセックスの存在」についてマジメに考え、それぞれ自身の性嗜好と改めて向き合い、新たなセックス観を発見することになる。どういった経緯で彼らが新たな自分を知ることになったのか、ぜひ本作を読んで確かめてみてほしい。
(保田夏子)

最終更新:2016/04/20 21:00

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