コラム
[連載]悪女の履歴書【2014年特別編】

さくら夫人の出現は必然だった――木嶋佳苗、上田美由紀、京都・筧千佐子から『後妻業』へ

2015/01/04 19:00

 夫の死後1年もたたずに、献身的な自分をノンフィクション作品“殉愛”として世に出させたこと。遺産や利権が対立する夫の子どもや仕事関係者を貶める内容だったこと。しかもノンフィクションといいながらさくら夫人の経歴に“嘘”があったこと――。もちろんその責任はさくら夫人本人ではなく、彼女の証言を鵜呑みにし、都合の悪い情報を隠蔽し、その上で「すべて事実」だと宣言し、その後ネット民が次々と暴いていく疑惑に逆ギレし、作家タブーを最大限利用してメディアを制覇したノンフィクション作家・百田センセイにある。

 だが大ベストセラー作家にして、NHKの経営委員の百田センセイをそこまで心酔させたさくら夫人の“魅力”とは何か? 真実は? と人々が興味を持つのも当然だった。しかも百田タブーとは距離のある新聞社系週刊誌が、遺書に記された遺産の寄付団体にさくら夫人が放棄を要求、その場に百田センセイも同席していたと報じたのだ――。

 いやはや、全てが波瀾万丈、面白い! 年明け1月にはやかじん長女が起こした訴訟も本格的に始動するし、この騒動は15年も続く気配が濃厚だ。これだけ人々の興味を駆り立ててくれたさくら夫人。僭越ながら勝手に認定させていただく。あなたは14年ナンバーワンの女性でした!

最終更新:2019/05/21 18:51
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