カルチャー
[官能小説レビュー]

愛のないセックスこそ快感? 『リコちゃんの暴走』が暴く、痛い女の自己愛

2013/10/07 19:00

 他人から見れば、何の障害もない幸せな交際。しかしリコはナツヒコのマンションにデリヘルを呼び、2人の様子をクローゼットの中から盗み見るという行動に出る。

 互いに思いを寄せ合い、寄り添い合って生きるという恋人同士の関係性に満足できないリコを、読者はどう捉えるのだろうか? 何の問題もないまっさらな関係性よりも、黒を一滴落としたような“生臭さ”に快感を得る――そういった意味で、私はリコの気持ちに共感した。けれどリコが異様なまでに“痛み”を求めれば求めるほど、「それは裏を返せば利己的な欲望でしかない」という事実を突きつけられた。自分の快感ばかりに追い求めていると、次第に周りが見えなくなる。ともすると、他人だけでなく、自分を見失うことにもつながってしまう。

 悲劇のヒロインも、確かに気持ちいいかもしれない。しかし、自分1人の物語の中でヒロインを演じることの危険性、そして平凡だけれど、パートナーと紡ぐ物語の方が遥かに幸せだと、『リコちゃんの暴走』は教えてくれた。
(いしいのりえ)

最終更新:2013/10/07 19:00
アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト