カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」8月号

夫に期待せず、自らの努力でイライラ解消! 「VERY」の息苦しいポジティブさ

2013/07/22 14:30

■イケダンの横に●●あり

 「いつだって“機嫌のいい奥さん”でいる秘訣」で抱いた「イケダンなんていやしないのでは?」という疑惑を晴らすため、イケダンを取り上げる連載ページ「IKEDAN PRESIDENT」を見ていきましょう。

 「VERY」といえば、バザーで手作り小物を売っているママを「ミセスCEO」と名づけたりと、仰々しいネーミングセンスの持ち主ですが、イケダンにも堂々と「プレジデント」とつけています。なんだか「旦那さんを立ててあげています」という奥さんの意識も垣間見えます。

 この連載に登場するイケダンは、なんらかの事業を起こしている社長が多いようです。しかし、18時で退社し、子育てにも協力し、オフの時間にはジムに行ったりと、ワーク・ライフ・バランスを実現している様子。今時のできるビジネスマンというのは、オンオフのバランスが取れていないと「かっこ悪い」とみなされるのでしょう。

 とはいえ、そんなイケダンの奥さんは、働きながら一級建築士の資格を取り、イケダンが転職で挫けそうになった時には励まし続けたというできたできる女ばかり。イケダンの隣には、内助の功なんてものを超越した、スーパーウーマンがいるんだな……ということを、まざまざと見せつけられました。

 そのことをますます感じさせたのが、「これが本物海男の、イケダンBBQ」というイケダンの晴れ舞台だけがフィーチャーされた企画です。誌面から「オレ、かっこいいっしょ。もっと誉めて!」というイケダンの心の声が聞こえてきそうな企画を読み、イケダンは、家で日常的にママたちを手伝ってくれる存在ではなく、己の舞台で輝ける時に限って、いろいろやってくれる存在なのかもしれないと思いました。

 中には「妻を休ませる」をコンセプトに、自らBBQをしようと言ってくれるイケダンもいるかもしれませんが、やっぱり素敵な奥さん像を追い求める「VERY」読者たるもの、そんなイケダンをここぞとばかりに持ち上げずにはいられないはず。普段よりも気を使い、体力も消耗しそうな「イケダンBBQ」……。傍から見ていると、イケダン奥さんの苦労がひしひしと感じられるだけのイベントでした。
(芦沢芳子)

最終更新:2013/07/22 14:46
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