カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月7日号

女たちの“不安”という小さな芽を共有し、「婦人公論」は今日も進む!

2013/06/03 21:00

 「あなたはママの作品なのよ」という母親の過干渉に悩まされてきたという小島、厳し過ぎる父親に支配されると同時に経済的には依存されていた中島、慰めて欲しい時も「パパの方がもっとひどいことがあった」とひたすら叱咤激励されていた高橋。3人とも優秀でしっかり者、親の束縛に疑問を抱きつつも「自分さえ我慢していれば……」と感情を押し殺し、家庭内の調整役を果たしてきたことがインタビューからも垣間見えます。小島は最終的に「親子であることを諦める」という視点のパラダイムシフトで自分を納得させ、新しい親子関係に踏み出したようです。ラジオパーソナリティやエッセイストとして成功し、この3人の中で一番「(毒親を)乗り越えた感」がある小島ですが、実際はその仕事のモチベーションも「私はママじゃない、ママとは違うと、ただ母にびっくりしてもらいたかった」という感情からきているといいますから、それだけ親からの呪縛から逃れるのは難しいということでしょう。中島のインタビューにもまだまだ不発弾を抱えているような危うさを感じますし、自分のことを「夜通し回し車を回すネガティブなハムスター」と表現する高橋にはもっと深い闇があるように思います。

 「婦人公論」読者は「親であり娘でもある」世代。いわば自分の中に被害者と加害者の両方を背負っている。それだけに「婦人公論」で毒親を扱うことは救済でもあり、断罪でもあると思います。自分が親になってびっくりするのは、眠っていたエゴがムクムクと顔をもたげるんですよね。とてもじゃないけどフラットな状態で子育てなんかできません。「良かれと思って」自分の趣味を押し付け、「良かれと思って」勉強を強要し、「良かれと思って」思想を誘導し、いつの間にか自分好みの子どもにしようとしているのです。すべての親は毒を自分の子どもに注入しているんだと、時々気づいて恐ろしくなります。ただその事実が自分の親を「許す」きっかけになることもある。されて嫌だったことを、自分もしてるじゃないかと。一番怖いのは「私は違う」「私は関係ない」と思うことなのでしょう。女たちが「不安」を共有することで関係をドライブさせてきたように、「自分もいつか毒親になるかもしれない」という不安を共有しながら、そうじゃない未来を夢見ていたいと願ってやみません。
(西澤千央)

最終更新:2013/06/03 21:00
アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト