ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)コンサルタント・内藤加奈子さんインタビュー

アパレルの「過剰接客」がなくならないワケ――やたらと声を掛けるのは“時代遅れ”?

2018/07/14 16:00

商品の売り込みではなく「挨拶」や「会話」が大切

 「話し掛けられたい」客と「話し掛けられたくない」客が混在する中で、販売員はどう対応することが正解なのだろうか?

「いきなり声を掛けず、まずは離れた場所からお客様を観察することが重要です。さまざまなお客様に対応するためには、『何かお困りの時にはすぐに参りますので、ごゆっくりご覧ください』という意味合いのお声掛けをして、必要な時には目が合うようにしておく。そうすると『気がついてくれるお店』としてリピートされる可能性が高くなります」

 まさに接客の基本であり、極意だ。さらにその「声掛け」の内容も重要だという。

「私は『どんな内容でお話し掛けをするか』を重要視しており、その内容としては商品の売り込みではなく『挨拶』や『会話』として成立するものを大切にしています」

 ちなみに、筆者が店員に言われて一番困ってしまうのは、「これ人気ですよ」というセリフ。それだけ売れているのであれば、人とカブる率が高くなるような気がして、購買欲が薄れてしまう。

「その場合、販売員は『これ人気ですよ』ではなく、『これを選ばれるお客様は、おしゃれな方が多いんですよ』などと表現すれば角が立たないと思います」

 接客で重要なのは「人と人」として関われているかどうかであって、とにかく声を掛ければいいというものではない。過剰な接客で満たされるのは、店員の「仕事した感」だけなのではないだろうか。ネット通販に押されて百貨店など実店舗の売り上げが落ちているというが、こうした商売優先で旧態依然とした接客方法が、その原因の1つなのかもしれない。
(ジョージ山田/清談社)

最終更新:2018/07/14 16:00
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