シモネタだらけのアニメ映画『ソーセージ・パーティ』がお下品なのに痛快!

 食と性は互いに通ずるものがあります。どちらも“生”に直結する三大欲求に基づく行為です。睡眠はとても個人的な行為かつ、その頻度や内容における個人差がさほどないのに対して、食と性は誰と、どこで、何をするかなどによってその内容が大きく変わる“ソーシャルな行為”である点も共通しています。

 先日、寿司屋で赤貝が出された瞬間、私は思わず「エロッ!」といってしまい、同席した人に苦笑いをされました。貝類って総じてエロいと感じます、粘膜的な見た目だけでなく、味わいも。肉類もとても官能的なお味のものがありますね。食漫画『花のズボラ飯』や『忘却のサチコ』でも、主人公が満足してるときの表情は、どう見てもエクスタシー顔です。

 ふだん自宅で自炊して食べる食事では、あまりエロスを感じません。ちょっといいお肉を買ったり外食したり、特別感があるときは感度が高まるのか、キャッチする官能レベルも上がります。それって、私が提唱している「生活としてのセックス」ではエロエロムードよりお互いへの思いやりや協力的な態度やときに妥協が必要で、たとえば出会ったばかりとか特別なシチュエーションとか背徳的な関係とか「スペシャル感のあるセックス」では問答無用にエロスイッチがオンになる……というのと似ています。

 そんな食と性を融合させ、さらに笑いと冒険心で味付けした映画『ソーセージ・パーティ』が現在、公開されています。いや~、お下劣で最高!

 舞台はアメリカのスーパーで、主人公であるソーセージのフランクは、外の世界に出て恋人と結ばれる日を夢見ています。愛しいその人は、パンのブレンダ。合体すればおいしいホットドッグに……なのですが、ブレンダの見た目が、まんまオナホール! 昨今の主流である、ふんわり柔らか素材系のオナホにキュートな顔立ちとセクシーな手脚を着けたようなルックスなのです。そこにソーセージが挿入されるんですから、それはもう暗喩でもなんでもなくセックスそのものを表します。英語が苦手な私の耳でもわかるほどお下品なワードが連発されていることもあり(日本語字幕に訳されないにしても)、R15+指定が納得の、B級感あふれるアニメ映画です。

◎食品が表現する多様性

 声優を有名俳優が勤めていたり、数々のヒット映画へのオマージュが散りばめられていたり、映画ファンに歓迎される仕掛けがいっぱいの作品ですが、ただの悪ノリおふざけムービーではないのは、“多様性”がメインテーマに据えられているからです。

 ブレンダに恋するタコス用トルティーヤ、テレサ・デル・タ(女性)がいたり、宗教的に対立する地域の食品同士が行動を共にすることになったり……。だから、あまりにスゴくて笑っちゃうしかないセックスシーン(食品と食品の)をたっぷり見せつけられても、鑑賞後は実に爽快な気分になるのです。

 また、ソーセージのフランクが見た目はチンコだけど脳内は男根主義でないし、オナホ系ボディでむちむちお尻をフリフリ振って歩くパンのブレンダちゃんは、一見頼りなさそうに見えたのに、その実、自分で考えて行動し、恋人や他者に対してNOというべきときははっきり意思表示する自立した女性です。

 食品たちを待つ運命は、実に過酷です。彼らはスーパーの外に出たら幸せになれると思っていたのに、焼いたり切り刻まれたり熱湯で煮られたりして、“神”だと信じていた人間に食べられるのですから。食という、自分以外の命を自分のなかに取り入れる行為は、根源的にとても残酷だということをあらためて思い知ります。それは、性においても同じことがいえます。しかしこの映画では、食品たちのセックスは非常に祝祭感あふれるものとして描かれていました(かなり鬼畜なプレイをしているにもかかわらず!)。

 ここで、今秋発売されたコミック『妄想食品館』も紹介させてください。擬人化された食品同士のセックスを描いた作品です。

チクワがその穴にいろんなものを無理やり挿入され、おせち料理の重箱のなかでは、伊達巻クンとカマボコちゃんが露出プレイをし、ドーナツはチュロスに貫通され、東京土産の定番「ひよこ」はニューヨーク風カップケーキに輪姦されます。いい意味で馬鹿馬鹿しく、作者の食に対する偏愛ぶりもうかがえます。

◎暴力的だと、笑えない。

 しかし、人に消費されるために作られる食品への残酷なまなざしは『ソーセージ・パーティ』に共通していても、ここで描かれるセックスはすべて暴力的で、基本は女性(役)の食品が男性(役)の食品に蹂躙され、それでも最終的には悦ぶ構図になっていることに、気づけば私のなかでは拒否感が発動していました。

 どれもBLを含む同人誌的エロ漫画のフォーマットに乗っかったもので、その文化を愛する人たちにとっては、それを食品擬人化でパロディとしたこと自体が面白いのでしょう。けれど文脈を共有していない私は、パロディというシーズニングによる味付けがわからず、笑いのツボを見つけられないままでした。ゆえに嗜虐性ばかりが際立ち、私の許容範囲を超えてしまったようです。

 そもそも残酷な面のある食と性を笑いに昇華するのは、なんとむずかしいのでしょう。そこにきて『ソーセージ・パーティ』は「カップルで見ても、眉をひそめず笑いとばせる」レベルで、不思議と安心して見られるお下劣作品なのです。あ、つき合いはじめたばかりでまだカラダの関係がないふたりには、オススメできませんけどね。ある程度、こなれた関係のふたりで見てくださいませ

■ 桃子
オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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