漫画家・大橋裕之×とあるアラ子対談(前編)

男女問題、人脈、マウンティング……サブカル・コミュニティがドロドロする理由

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とあるアラ子さん(左)と大橋裕之さん

 普通の女の子が、ふとしたきっかけでサブカル・コミュニティに足を踏み入れ、その違和感や葛藤を描く『わたしはあの子と絶対ちがうの』(イースト・プレス)。作者のとあるアラ子さんと、最新作『太郎は水になりたかった』(リイド社)が好評の漫画家・大橋裕之さんに、サブカル・コミュニティの現状と、サブカル界隈の独特な男女関係について語っていただきました。

■ただの愚痴が、いつしか長編漫画に

――とあるアラ子さんの『わたしはあの子と絶対ちがうの』は、サブカル・コミュニティを女性の目線から描いた作品でした。フィクションとのことですが、実体験も入っていますか?

とあるアラ子(以下、アラ子) 実際の出来事をベースに、フィクションを交えて描いています。その頃、私はいろんなことに腹が立っていて、友達に愚痴を言っていたんですが、そのうちだんだん聞いてもらえなくなって……。それで漫画にしてみたら、意外にも長編になっちゃって。

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『わたしはあの子と絶対ちがうの』より

大橋裕之(以下、大橋) アラ子さんは、もともとイラストレーターだったんですよね。どういったものを描いていたんですか?

アラ子 女性向けの雑誌に、漫画やイラストを描いてた時期がありました。その頃は、特にサブカル的な趣味や嗜好はなかったと思います。

■男性に影響されてサブカルになった女性にイライラ

――作品中には、サブカルに足を踏み入れたばかりの女性に、サブカル男子が“教育”する場面が描かれていましたが、実際はどうなんでしょうか?

アラ子  ほとんどの女性は処世術と割り切って“教育”を受け入れてるのではないですかね。私もどちらかというと、そのタイプです。そのおかげでモテたりとかはないですけど、うまく立ち回ってるなと思うことは、正直多いです。

 以前、映画評論家の町山智浩さんが「女の子が急にマニアックなことを言い出したら、たいてい男の影響」とツイートして炎上したことがありました。当時、吉田豪さんはこの件について、「彼氏の影響でサブカルにハマった女子のほうが、うまいことやっていきがち。だから、いろんなことをこじらせて、自らサブカルにハマった女子はモヤモヤするんじゃないだろうか」というようなことをツイートしていて、「なるほど」と思いました。でも「うまいことやってる」と思われる側にだって、そこに至るまでの経緯や、いろいろ思うところはあるんじゃないかなって。そういうことを漫画に描きたかったんです。

大橋 でもアラ子さんは、自分よりさらにうまくやれている人を見ると、イライラするんですよね。

アラ子 マンガに登場する“るりるりちゃん”みたいに、相手の知名度によって態度を変えるような人は、イライラしてしまいますね。自分にもそういう部分はあるので、あんまり偉そうに言えませんが……。

大橋 そういうイライラを感じるのは、もしかしたら女性の方が多いのかもしれませんね。僕の場合は、好きな漫画や音楽を女性に教えて「良かったです」と言ってもらうと、単純にうれしくなるでしょうね。まあ、すり寄ってくる感じがあからさまだと「あぁ……」と思いますが、そこまで嫌悪感は感じないような。

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『わたしはあの子と絶対ちがうの』より

■サブカル独特のユルさが「出会いの場」化する要因

アラ子 例えば宝塚、サッカー、ジャニーズなど、好きなものが具体的にあるコミュニティにはガチじゃないと入れないけれど、サブカル的なコミュニティって特に好きなものがなくても、話題になったものを追っていれば、その場に居続けることができるんですよね。私なんかが、まさにそういう人間なんですけど。そのユルさゆえに、「男女の出会いの場」になることもあるのかもしれないですね。渋谷直角さんの作品では、そういったコミュニティでの恋愛模様、マウンティングの様子がリアルに描かれていて、たいへん影響を受けました。

大橋 僕は、外側から見ると「サブカルの人間」なんだと思いますが、あまりサブカルの自覚はなく、あらためてどれが「サブカル」なんだろうかと考えると、よくわからないんですよね。なんとなくはわかるんですけど、いわゆるサブカルとされるものに、そこまで詳しくないので。でも、「このバンドが好きで、よく聞いている」とか「これが面白くて集めている」ということ自体が、恋愛にプラスに働くことがあるんですか?

アラ子 マニアックな趣味や知識がある男性を、魅力的に思う女性は多い気がします。でも、どこかで聞きかじった知識を我がもの顔でしゃべってるだけの人もたくさんいるので、見極めが難しいですが……。

サブカルより普通にジャニーズが好き

しぃちゃん

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