ひとつ屋根の下に住む男女は「事実婚」認定される。児童扶養手当の申請で受けた理不尽

 こんにちは、ヒラマツです。前回の続編として、引っ越しをキッカケに遭遇した児童扶養手当のアレコレをここにご紹介させてください。というのも、「シングルマザーの引っ越しは大変!」って話をまとめることも、「役所にウンザリ」みたいな愚痴を書くこともできるのですが、“児童扶養手当のこと”は私はもう少し切実なものだと考えています。(普段の記事も別にふざけて書いているわけじゃないよ!)

 この話題は、丁寧に扱うことによって、現実的に似たような状況に直面する当事者の方たちにとっての、ひとつの“前例”になるという意味もありますし、やはり「国(や自治体)の言ってること、めちゃくちゃじゃない? どうなってるの?」という気持ちや危機感が非常に強くあるので、折角のこの場所(messy)を、機会を、しっかり使っていこうという思いが根底にあります。

◎私の「ひとり親」状況

 前回の記事でも書きましたが、少し前まで私は、【私+私の子供+姉+姉のパートナー男性+姉とパートナー男性との子供】という大人3:子供2の5人で賃貸の一軒家に住んでいました。私は未婚なので、うちの子供は「父または母のいずれかに養育されていない」状況であり、私はその子供を育てる「ひとり親」、そして所得は多くありません。多くの自治体がそうであるように、私の住んでいる自治体にも「所得の多くないひとり親に手当を出す」という制度があったので、使ってみようと思い、区役所へ手続きに行ったことがありました。そうすると、「同じ住所に未婚の異性が同居されているので、手当の受給資格がありません」と言われました。

 私ははじめ、何を言われているのかスンナリと理解することができませんでしたが、<未婚の異性>という語が指していたのは <姉のパートナー男性>でした。彼女たちは入籍という制度を使っていないいわゆるパートナー関係だったので、書面上、<姉のパートナー>が、私と事実上の婚姻関係であるとみなされる仕組みになっているとの説明を受けました。また、実はその時、窓口の方は「お姉さま方が籍を入れてくだされば解決するんですが……」とまで言いました。それには私も頭にきた……というか開いた口が塞がりませんでした。姉たちの人生は姉たちのものです。あなた一体何様なの? ましてや私にそれ言ってどうするの? 何になるの?? 余計なお世話にも程がある……と呆れたものです。

 さて、思い出すと今でも少し頭に血が上ってしまいそうですが、そういうことなら、ひとまず「同じ住所に未婚の異性が同居されている」状況はこの家に居る間は変わらないので、いつか家を出たり、姉たちと別々に暮らす時がきたら、また申請してみようかな。という気持ちに、この時は落ち着きました。

 そして、去年末、お金が少し溜まったこともあり、姉たちとも話し合って、私が近所のアパートを借りて、子供と二人、家を出ることにしたので、今年に入ってから児童扶養手当申請のリベンジに行きました。

◎「事実婚関係の解消」という嘘

 ここからは区政に出した意見文をまずはお読みいただければと思います。簡単な状況説明から、私が問題意識を持った場面などを綴ったものです。

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「○○区政への意見 児童扶養手当の申請手続きおよび申請書類についての意見文」2016/1/30

初めまして。昨年1月から○○区に住んでいるヒラマツマユコという者です。

先日(1月14日)、○○区役所にて、児童扶養手当の申請手続きを行おうとした際、窓口で一部書類へ事実とは異なる表現が含まれていることを指摘しましたが、申請するのであれば事実とは異なっていると思える表現でも書くよう、記述内容を誘導されました。私は法律的に間違ったことや後ろめたいようなことは何もしていないにも関わらず「手続きの都合上」という理由で、「嘘」を書かされたことに、後から気が付き、今は憤りを感じています。ただ、これは窓口の方だけの責任でもないと思っています。そもそも書類の形式に問題があった可能性や、イレギュラーな事例への対応方法など、見直していただければと思いご意見出させていただきます。

具体的には、『事実上の婚姻関係を解消したことの申立書』という書類についてのお話です。もともと、私は去年1月に○○区に引っ越して来た際、実姉とそのパートナー(姉とは入籍していない事実上の婚約者のような関係)とその2人の子供(当時0歳児)の住む家に、私の子供(平成25年に私が未婚で産んだ娘/当時1歳児/事実上の父親にあたる男性には認知もされておらず、養育費ももらわず、面会も生後3ヶ月の頃一度しただけで、金銭的にも育児に伴う実務的にも関わりがありません)と2人で入居し、姉家族と同居という形で生活を始め(住民票もそこへ動かし)ました。

その際にも、当然姉家族とは生計は別ですし、我が子が「父に養育されていない」ことは違いなかったので、児童扶養手当の申請のために何度か区役所へ相談に行きました。すると、「未婚の異性(姉のパートナー)が同じ住所にいらっしゃるので申請をしていただけません」と言われ、腑に落ちないとは思いつつも、そういう決まりであれば、姉や姉のパートナーは何も悪くありませんから、事実を隠したり、2人に何かをして貰うのもおかしいので、申請および受給を諦めることにしました。

それから、しばらくして少しお金が貯まったこともあり、去年の12月19日に娘と2人で家を出て、近所のアパートに引っ越しました。それを機に、児童扶養手当の申請条件も満たすはず(家を探す時も、家賃は児童扶養手当が受給できることを前提に算定していました)なので、まずは引っ越す前(11月30日)に一度相談に行ったところ、必要書類などの案内をしていただきました。

そして、実際に引越しも終えて住民票も動かし、書類も揃ったので、いざ申請の手続きに行ったところ「前の家で一緒に住んでいた未婚の異性の方と同居関係が解消したことを、民生委員に家庭訪問で確認してもらい、その調査書をご持参いただかないと申請できません」と言われました。それを前回(11月30日)の相談時に伝えていただけなかったことにも疑問は感じましたが、申請できなくては私も困るので、民生委員の方への調査依頼のための手続きをしました。

その際の書類が、冒頭に申し上げた『事実上の婚姻関係を解消したことの申立書』というもので、「児童扶養手当の認定請求を行うにあたって、私が事実上の婚姻関係を解消したことについて下記のとおり申し立てます。」と始まり、<事実上の婚姻関係を解消した日>と、<事実上の夫または妻の氏名及び生年月日>と、<事実上の婚姻関係にあったときの住所>と、<事実上の婚姻関係を解消した理由>の欄が設けられており、すべての記入を促されました。その際、違和感を覚えた私は担当窓口の方に「これは、事実上もなにも、婚姻関係ではないのに、事実上の婚姻関係ということで書かなくてはいけないんですか?ここには姉のパートナーの名前を書くんですか?」と質問したところ、「はい、手続きの関係上こういった表現となっております」と言われました。そして、その場では、腑に落ちなさと悔しさから涙が頬を伝う場面もありましたが、推奨されたままに書類を書き提出しました。

しかし区役所を後にしてから、やはりどうしても、姉のパートナーと婚姻関係にあったなどという全く心当たりのない情報を公的書類に書いたことは、関係のない姉家族、特に姉のパートナー(の知らないところとはいえ、勝手に名前を書くことになるので)を巻き込むような罪悪感と、後ろめたいことをした訳でもないのに正々堂々と事実を記述させてもらえなかった圧迫感や無力感で、私に大変な精神的苦痛を与えました。

今になって、冷静にそのときの状況を考えてみると、既存のフォーマットを使わずに「前の住居で同居関係にあった姉の婚約者(未婚の異性)と同居関係を解消したことを申し立てる」というような趣旨で申立書を書くことも可能だったのではないかと思い、先日(1月26日)申請の最終手続きの際に「前回記入した申立書の内容がやはりどうしても気持ち的に引っかかるので、取り消していただくか、正確な情報に書き換えることはできませんか?」とお尋ねしたところ、「こちらのパソコンデータにもそのことは記載がされていて、それを書き換えることは難しいです。紙自体に関しては、どうしてもということであれば、手当の担当者が判断すれば廃棄することも可能かもしれません。民生委員さんの調査はどっちみち必要だったとはいえ、そもそもこういった形で申立書を書かなくても申請をしていただけた可能性はあります。」とのお話でした。もちろんこの時の担当者さんは前回の方とは違う方でした。

このことからお伝えしたかったのは、児童扶養手当の申請資格がある私が、現実には存在していなかった「事実上の婚姻関係」という関係性および言葉を使い手続きをしなくてはいけなかった現状と、窓口対応の疎らさ、それから、著しく少ない可能性ではあっても、今後も類似ケースに今回のような対応が為されるのであれば、改善をする必要が十分にあると強く思ったことの3点です。

具体的な改善方法の一例としては、既存のフォーマットを使わない「申立て」を選択肢として最初から提案することなどが考えられると思います。また、その際「既存のフォーマットである『事実上の婚姻関係を解消したことの申立書』というものを使う方が事務手続き上、よりスムーズではあります。」という話が選択肢の一つとして提案されるのであれば、問題ないように思います。あとは、叶うことならで結構ですが、行政のデータベース(というものになるのでしょうか)に入力された、私が「事実上の婚姻関係を解消した」という誤情報も、修正もしくは削除していただければ、いくらか救われる思いがいたします。

以上を持ちまして、私の意見とさせていただきます。最後までお読みくださりありがとうございました。お忙しいとは思いますが、何卒ご回答・ご改善の程よろしくお願いいたします。

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 以上が申請の際に起きた出来事です。姉にもこの旨を相談しましたが、「そんなことあるの!?」とただただ驚いている様子で、意見文を出すことに賛同してくれました。

◎児童扶養手当の審査が防ごうとしていること、それによって阻まれる正当な受給

 もちろん、児童扶養手当の厳重な条件・審査が、不正受給に対して練られた対策であることは理解できますが、だからといって受給資格がある者が“何故か”嘘をつかなくてはいけないとか、申請の過程で心的ダメージを受けなくてはいけないなんて、オカシイですよね。ましてや、私は姉や姉のパートナーとそれなりの信頼関係やコミュニケーションがある中での今回の事例ですが、例えば、同じような構成で生活を送ったことがある人が<同性の姉妹(または兄弟)のパートナーである異性>から暴力を振るわれるなどして、それから逃げるように別居した場合でも、児童扶養手当の受給を改めて申請しようと思うと、私と同じ書類を書かされるわけです。<暴力を振るってきた人間、しかも他人>と“事実上の婚姻関係にあった”と。ただ、“異性”であるというだけで。

 もうひとつおかしなところがあります。【私+私の子供+姉+姉のパートナー男性+姉とパートナー男性との子供】の5人がひとつ屋根の下に暮らしていて、姉と姉のパートナー男性は、<事実上の婚姻関係>カップルです。が、一方で、私と姉のパートナー男性もまた、婚姻関係どころか恋愛関係も一切なく金銭的な援助もないのに、<事実上の婚姻関係>カップルとしてみなされる。これでは、姉のパートナー男性が事実上<重婚>をしていたことになるんですね。これはなんというか、区政の穴というか、重婚を禁じている国の制度の矛盾ですから、私にはとても滑稽に見えます。

 こういった諸々の心的ダメージを考えると、嘘の一つもつきたくなるよ……以前の住居形態・家族構成を隠す方が楽だよ……と思いますね、そりゃぁ。こういう心理こそ、不正受給に繋がっていく可能性、大いにありますよね。そんなの、ただの悪循環じゃないですか。何を防ぐための対策なのか……なんてことを悶々と考えさせられます。

 また例え話になってしまい恐縮ですが、離婚して子供と二人暮らしをする女性(父子家庭ももちろんありますが、私の状況からも考え得るようにここでは“女性”の立場を中心に据えて考えます)に、新しい彼氏が出来たとします。女性は児童扶養手当の所得制限にかからない程度に年収が低く、子を育てるにあたって手当を受給していましたが、彼氏が週に3日ほど(や、それ以上など、頻繁に)女性の自宅を訪れ、女性と子供と過ごす時間をつくるようになったとしましょう。そうすると、今の児童扶養手当の規定では、女性は「不正受給をしている」とみなされて、児童扶養手当を打ち切られてしまう可能性があります。この男性と女性は恋人同士であって、男性が女性に生活費を渡すことなどなかったとしてもです。行政からしたら、恋人である男性が女性の家に来る=生活費を貢いでいる、ということなのでしょうか。あるいは、この男女がさっさと結婚して家計を同じくすれば良いということなのでしょうか。

 これでは、手当を受給する、所得の低いひとり親は、恋愛をするなと言われているようなものです。それどころか、異性を含むルームシェアもできない、血縁のない親類との同居もできない。ひとり親を救う手立てであるはずの「児童扶養手当」は、ひとり親を孤立させるための制度と化しています。私には、「月々4万円(満額受給の場合)欲しくば、一人ぼっちで食いしばってシンドイ子育てをしないと許さない」とでも言われているかのように思えます。

 不正受給というのは、実際には生計を同じくする男女で困窮していないのに、所得の低いほうがひとり親を装って児童扶養手当を受け取るようなことです。そういう人も世の中にはいるでしょう。不正受給者に税金が割り当てられることに、市民感情として怒りを覚える人が多いことも理解できます。しかし一律に「男女がひとつ屋根の下に住んでいるなら事実婚だ」と決めてしまうのは乱暴すぎます。

 確かに、最初からどんなケースにも対応できる完璧なルールを! というのは無理だと思います。この問題に投入できるマンパワー、というか人件費(税金)が限られていることも大きいです。それでも、随時バージョンをアップデートしていくように、柔軟な姿勢で対応していただくことは出来ないでしょうか。

◎その後の区の対応

 そして先日、区の担当者の方から返事をいただきました。が、残念なことに、到底納得のいく内容ではありませんでした。次回ご紹介いたします。

 役所にとって、【お父さん+お母さん+お子さん(+祖父母)】の家庭こそがスタンダードであるため、私は未婚のシングル子持ちということで非・スタンダードゆえ、適切な対応が用意されていないのかもしれません。ここ数年で私にとって、役所というものは、応答の節々でハラスメントに晒される嫌な場所になってしまいました。「母子手帳をもらうとき」や「出生届を出すとき」など、何をするにも、“どんな”非・スタンダードなのか、“何故” 非・スタンダードなのか、と根掘り葉掘り説明を求められるし、この国では本当に珍獣みたいな扱いを受けるんだなぁと思わざるを得ません。(珍獣て……苦笑)

 ああ、もうそんなこと(シングルであることが問題だなんて)考えなくてもいいくらい、パスしてすっ飛ばしたいですね。ではでは次回、区からのお返事にツッコミを入れる回になる予感! この状況をスンナリパスできないなら、もうネタにするなり、お金に変えるなり、するしかないと思うので、しっかりネタにしようと思います。アデュー!

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