厚労省さんは「貧乏人は栄養バランスを考えろ」って言うけど、私、お水が主食でしたよ?

 先月の東京行きでの思い出に浸っている中、担当編集者から「上原さん、料理できないでしょ?」と言われ、心の底からびっくりしました。掃除苦手オーラだけでなく、料理苦手オーラも身にまとっているようです。シングルマザー女子大生・上原由佳子です。

 ご存知の通り、いま「所得が低い人達ほど栄養バランスの良い食事が取れていない」というニュースが話題になっています。特に、12月13日のNHKニュースで報じられた、厚生労働省の「所得が低い人はバランスのよい食事をとる余裕がなくなっているのではないか。食事の内容を見直すなど健康への関心を高めてほしい」というコメントが炎上気味に注目されています。

 厚生労働省のコメントに対しTwitterでは、「『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』を200年ぶり更新するすごい名言だと思う」「持たざる者を煽る文章としてこれ以上ないであろう後世に残る名文」など面白い批判の声があがっていましたね。みなさんセンス良すぎて……楽しく読ませていただきました!!!

 妊娠中にライフライン全滅事件を経験し、いまでも白菜4分の1サイズの金額に一喜一憂している上原は、厚生労働省のコメントを見て「その発想は無かった! しかしまあ、極貧生活の中でどうやって健康への関心を高めるんだ?」不思議に思いました。

 ということで、所得が低く、バランスの悪い食生活を送っていた当事者として、「ライフライン全滅前後の食事事情」について今回は書いてみます。

◎毎日チョコを食べていた

 ライフラインが全滅するほど貧困状態にあった当時、まともな食事は1日1食でした。当時、元夫と住んでいた家は、祖母宅から徒歩5分圏内にありました。普段は水とチョコレートで空腹を紛らわせ、まともな食事は祖母宅でとっていました。頻繁に通うと電気水道ガスが止まっているのが祖母にバレるので、毎日は通えなかったのですが……(ちなみにチョコレートも祖母宅から拝借していました)。

 コンビニ弁当を食べた日は、この上なくハッピーで「明日もお弁当食べられたら嬉しいな♪」と思っていたし、“健康”とか“栄養バランス”とか考える余裕なんてありませんでした。まともな食事に一日一回でもありつけるだけで嬉しかったくらいですから……。

◎健康保険税が支払えなかった

 当時、結婚してからも実家に居座っていた上原は母の扶養を抜け、母と同一住所で世帯分離していました。だから国民保険の請求も、たいしたことないと思っていたんです。しかし、家に届いた健康保険税の請求額をみて驚愕しました。その額、ひと月に数万円……なんと母の所得で請求が来ていたんです。働いてない妊婦がどうやって払うんだろう……? 払えるわけがない!! 妊婦検診には行かないと子どもに何かあったら大変だ!!! でも「健康保険税払えないから払って♪」なんてママに言えない!!!!!

 請求額に困惑しつつも役所に確認してみたところ、「水道メーターがひとつしかないと同一住所の人の中で最も所得が高い人をベースに計算して請求している」そうです。ようするに、働いていない妊婦の上原の所得ではなく、母の所得ベースで健康保険税の請求額が決まっていたのです(苦笑)。

 結局、健康保険税を完納するまでの間、1カ月の期間限定で使える短期の保険証を発行してもらいに役所まで行っていました。バス代を健康保険税の支払いに当てるため、往復2時間半かけて役所まで歩き、役所の窓口で「すみません……、今日は千円しか払えません」とひたすら謝って、なんとか短期証をゲットしました。帰宅するころには精神的にも肉体的にもクタクタです(苦笑)。

 往復2時間半かけて歩いたわけですから、お腹もペコペコでした。家に帰りながら考えていたのは「あの千円があれば……」

 ああ、千円支払わずに短期証だけ発行してもらって帰る強いメンタルを持っていたら、今日も明日もご飯食べられたのに……。どうしてあのとき、罪悪感から千円を払ってしまったんだろう……。

 ローションで滑って転んだからといって、風俗店のキャッシャーをやめなければよかった……。そしたら、ご飯も食べれるし、病院も行けたし、健康保険税も払えたかもしれいのにな……(白目)。

◎明日のことも考えられない日々

 お察しの通り、ライフラインが全滅する直前から“栄養バランス”と“健康”について考える余裕なんてありませんでした。それよりも「あの千円……」とか、「何を食べよう……というか何なら買えるんだろう」とか、「(元)夫は何処に行ったんだろう」とかばかり考えていました。

 その後、ライフライン停止とともに上原の思考も停止しました。当時のことはよく覚えていません。

 ところで、たまに出てくる元夫は、ライフラインが全滅するちょっと前から、家にほとんど帰ってこなくなりました。あのときは上原も生きるのに必死で、(元)夫が何をしているのか聞く余裕もありませんでした。

 離婚前、少しだけ落ち着いた頃、(元)夫「あのとき家に戻らないで何をしていたの?」と、聞きました。「始めのうちは実家にいたけど、だんだん実家に居づらくなって公園にいた」そうです。そして、公園では、「実家から味塩持って出たから味塩舐めて公園の水を飲んでた」らしいです。

 そうか……、家に戻ると上原が「お金ない!」って発狂するからね、ごめんね。

 そんな優しいこと思うわけないじゃないですか!!! なんだそれ! 上原を放置して何してんだ!!!!

 元夫へのイライラを抑えて冷静に考えると、私と元夫の共通点が見えてきます。二人とも時間軸が短いんです。「今日どうしよう」としか考えていません。明日のことなんて考えられない。

 短絡的で、向こう見ずで、何も考えていないように見るかもしれません。賢い買い物をして、少しでも余裕を作って、ちょっとでも貯金すればいい。そういうことをしないから貧困になるんだ。そんなことをお考えの方もいるかもしれません。でもそんなこと考えられなかったんです。困窮すると、そういう思考しかできなくなるんです。前述した上原のケースをまとめると、お金がないから保健税が払えない。保健税を払わないと病院に行けないから、どうにかして払う。すると食費が減ってしまい“栄養バランス”なんて考えられない。その結果、体調崩しやすくなるけど病院代と食費の二択で、どちらかを我慢しなきゃいけない。どちらかを優先して、さらに健康状態が悪くなる。誰かに相談するなんて発想もできなくなる。そして……。

 金銭的な余裕がなくなると“今日を生きる事”が最優先になってしまいます。生活を立て直すためには、たくさんの人から色んなことを言われないといけません。ただでさえ精神的に追いつめられているのに、強い口調で責められたらなにも言い返せません。今回の厚労省のように、国が自己責任論を助長するようなコメントしてしまえば、「まともなご飯が食べたい」「病院に行きたい」と言うのすら許されなくなっていくのではないでしょうか。

 ガチ困窮していたころ、まともなご飯にありつけなかった上原ですが、今は白菜の値段で一喜一憂できるくらいの余裕はあります!! それに、最近はアラサー独身男子の担当編集者からいろいろなレシピを教わって、娘ちゃんと一緒に作るようにしています(笑)。いちおう、自分の名誉のために言っておきますが……。なーべーらー汁とか、イナムドゥチは昔から作れますよ?

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