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月9『恋仲』、「T層視聴率は20%なのに」……ワースト入りドラマの致命的失敗を分析

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『恋仲』(ポニーキャニオン)

 月9ドラマ『恋仲』(14日放送、フジテレビ系)の最終回の平均視聴率が11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し、全9話の平均が10.8%であることがわかった。この結果を受けて業界関係者は、「初回が1ケタスタートだったので、どこまで下がっていくのだろうと他人事ながら不安でしたが、意外と持ち直したので驚き」と語っているが、視聴率上昇の起爆剤となったのはネットとの連携。携帯・スマートフォン・パソコンを見ながらテレビを視聴する、いわゆる“ソーシャル視聴”を制作側も積極的に推進したのだ。

「放送が始まる午後9時から、出演者が視聴者と同じようにドラマを見て『ここで、いきなりキス!?』とか、『翔太、最低だな』などとリアルタイムでリアクションしている動画を毎回のように公式Twitterにアップし、視聴者のリアルタイム視聴へのモチベーションを高めました。最終回はライブ配信サービス『ツイキャス』で、出演者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションをとる企画を行ったのですが、約17万人がアクセスしたことから、サーバーが一時パンクするという事態も起きました」(芸能ライター)

 さらに公式Twitterのフォロワー数は現在27万人。前クールに放送された同枠の『ようこそ、わが家へ』のアカウントがまだ閉じずに残っているが、そのフォロワー数が約5万5,000人であることを考えると、これは異例の数字だ。

 また劇中シーンで主人公が使った、花火の残像を鮮やかに映し出すアプリが話題になり、視聴者が再現してSNSで公開する流れもできた。しかし、あるテレビディレクターは「TwitterなどSNSであれだけ盛り上がったのに、最終回でこの数字? という印象も拭えない」とも話す。

 確かに、SNSの仕掛けはうまくハマった一方で、視聴率には思ったほど反映されていない。内部情報に詳しい者にこの理由を聞いてみると、視聴者層の乖離が指摘された。

「『恋仲』の視聴率を年齢別で分析すると、T層(ティーンエイジャー)といって13~19歳の男女の視聴率は群を抜いており、彼らだけで見れば視聴率は20%。ところが、ほかの年齢層の食いつきが致命的に低いため、全体の平均視聴率が下がってしまったのです」

 では、なぜT層にだけ受けるドラマとなったのだろう? 

「このドラマは主人公たちの“恋愛”にのみフォーカスを当て、登場人物の置かれている環境についての描写などを抑えめにしたのです。ほかの年齢層から支持が得られていないのは、ドラマの醍醐味の1つともいうべき、そうした濃厚な人間描写がなかったから。語弊があるかもしれませんが、物語が薄っぺらく感じたのでしょう」(前出・テレビディレクター)

 象徴的なエピソードとして、主人公・三浦葵(福士蒼汰)の親友の1人・金沢公平(太賀)は、地元・富山で豆腐店を営む父が倒れ、店を継ぐことを決めたものの、長く続く職人人生を歩む前に、ひと夏の間だけ自由を謳歌しようと葵の家に居候していた。だが、この人物背景は第2話で明かされて以降、家族に関する話題が最終話まで出てこなかった。あるとしたら、「TOFU」のロゴTシャツを着ていたくらいだ。
 
 また、妻を亡くした後、男手ひとつで一人娘・芹沢あかり(本田翼)を育ててきた父・寛利(小林薫)との関係も、一般的なドラマであればもっと描かれただろう。父の失踪により7年後に再会するが、父娘の葛藤や、あかりを娘同然に育てた仙台の親戚がストーリーに絡んできてもいいだろうし、また葵の両親が出てきてもいいだろう。

「つまり、このドラマは主人公の恋愛以外の要素は、“記号”でしかなかったのかもしれない。一時期ヒットしたケータイ小説のような、“ラブだけ”のストーリーを目指したのでしょう」(同)

 90年代初頭、若者だけを熱狂させようと作られ、一部では軽いと批判された「トレンディドラマ」がフジテレビ躍進のきっかけを作った。今回もそれを踏襲したということだろうが、結果的には10%前後。これが成功だったのか失敗だったのかは、3~5年後のフジテレビの勢いが決めるのかもしれない。

同じ設定の橋田壽賀子バージョン見てみたい

しぃちゃん

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