「自分が産んだ気がしない」“子供嫌い”を自覚しつつも妊娠・出産した女性の本音

 人生において、結婚や妊娠・出産など、自身の生活が大きく変化するさまざまな選択肢があると思います。どんな選択をしようとも、その人の自由であり生き方のひとつですが、今回“子供嫌い”を自覚しつつも出産し、現在2歳になる女の子を育てているというMさん(28)の話を聞くことができました。なぜ彼女は子供を産むことにしたのか、その後の子育ての様子とは一体どんなものなのでしょう?

――子供嫌いを自覚したのはいつですか?

M「中学生くらいの時には、幼稚園児や小学生の親戚が実家に遊びに来ることに対して『だるいな~』って思ってました。中学生なんて自分も子供なんですけど、幼稚園児や小学生って食べ方が汚い子がいたり、やたら騒いだりするじゃないですか。おとなしい子もいるけど、どうしても大人が何かしら世話しなきゃいけなかったり。子供だけじゃなく動物全般も苦手なんで、こっちが手伝ったり、世話をするのが嫌なのかもしれませんね。写真とか動画、遠巻きに見てるだけなら子供も動物もかわいいと思えるんですけど」

――それでも、お子さんを産んだのはなぜですか?

M「旦那が子供を欲しがったのと、結婚して5年経った頃、両親や義両親に『そろそろ孫を……』って言われたのがきっかけですね。「子供を作らない」という選択をする夫婦もいるみたいですけど、私はそれができなかったというか、『子供が嫌いだから作らないなんて言ったら、周りの人に変な目で見られるんじゃないか』って思ってたんです。子供が嫌いなのに子供を産むのもどうかとは思ったんですけど、結局世間体を気にしたんです。こんなこと、娘には口が裂けても言えません」

――ご主人に「子供が嫌いだ」と伝えたことはないんでしょうか?

M「あります。伝えたら、『俺の友達にも子供嫌いなヤツ何人かいたけど、みんな自分の子供は別って言ってる』って。実際に私が自分の子供を産んだら変わると思ってたみたいです。それでも不安だったので、出産後は子供最優先で動いてもらう、趣味もできるだけ控えてもらうことを約束しましたけど。もしかしたら、自分は育児放棄しちゃうんじゃないかって心配だったので」

――出産後はどうでしたか?

M「すごく痛い思いをして産んだのに、なぜか自分が産んだ気がしないというのが最初に感じたことでした。里帰り出産だったんですけど、退院して実家に娘と一緒に帰っても、なんでこの子がここにいるの? って思ったりして。案外かわいいと思える瞬間もあったんですけど、自分の子供なのにそこまで興味が沸かなかったんです。なので世話もあんまりできなくて名付けも旦那に任せて、出産後1年も実家にいました。母乳でなくてミルクだったこともあって、ほとんど母が面倒を見てくれていましたね」

――それでも現在は、ご主人とお二人で子育てをしているんですよね?

M「自宅に戻ったばかりの頃は、娘と2人の時間が苦痛で仕方なくて。手を上げることはなかったけど、泣き止まない時はイライラしておしりふきやオムツを壁に投げつけちゃったこともありました……。私がイライラしている時は、旦那が何も言わずに娘を外に連れ出してくれたり、『お風呂でも入ったら?』って言ってくれてたので、なんとかやっていけてました。娘が1歳半を過ぎた頃から、託児所付きの職場で働き出したんですけど、それでやっとストレスが減ったように感じます。仕事だとしても、子供のことを見ていなくて済む時間があるのが本当にありがたい。母親失格なのかな、とも思いますけど、そう思ってしまうんです」

――出産したこと自体は後悔していますか? それとも、よかったと思っていますか?

M「正直、いまはまだ心から産んでよかったとは思えないです。旦那や母親のサポートがなければとっくに私自身壊れていたと思うし、育児放棄してたかもしれない。ただ、だんだんと娘が家族であることに慣れてきているとは思うので、これからいい母親になっていければいいなと。あとは、娘に私が子供嫌いだということは知られたくないという気持ちもあるので、私なりに娘に対する愛情はあるのかな? とも思います」

 今回、「娘に対する本音を初めて人に話した」という彼女。Mさんはもともと子供嫌いという自覚がありましたが、誰しも出産したからといってすぐに“母親としての愛情”を持てるとは限りません。例え子供好きの人でも、いざ出産したらMさんのような状況に陥る可能性もありますし、「母親なら子供に対して愛情がある」というのは絶対ではないのかもしれません。だからといって育児放棄や虐待をすることは許されませんが、そうした感情を誰にも打ち明けられず、押し殺さなければならないことで当人のストレスが倍増することも考えられます。自分の中での葛藤と戦いつつ、それでも子供に向き合っている彼女が「子供を産んでよかった」と思える日が来ること、そして「Mさんのような母親もいる」という事実が良い意味で社会に浸透することを願います。
(リオネル・メシ子)

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