「セーラムーン女子VSとんねるず男子(仮)」イベントレポート

「仕事も恋も諦めないのが当然」セーラームーンの原体験が生む女子の強さと生きづらさ

 では稲田氏の目に、セーラームーン世代はどう映っているのだろう。この世代は、「女“だけど”頑張る」「男には負けない」といった上の世代の空気に対し、「女であること」へのエクスキューズがないという。それはセーラー戦士たちが、「女“だけど”戦っている」わけではないことに通じ、それを見ていた少女たちが「最前線で女が敵と戦うことに違和感なし」という価値観を築いたのも想像に難くない。

 そして、この世代には「仕事も恋も諦めないのが当然という価値観がある」ようで、これもまた「戦うだけ」「恋をするだけ」ではないセーラー戦士と通ずる。その何事にも手を抜かない姿勢ゆえ、「セーラームーン世代には優秀な人が多い」と稲田氏は考えるそうだが、会場から「逆に、セーラームーン世代ゆえの生きづらさはあるのか?」と質問が飛ぶと、「良い意味でも悪い意味でも自己完結なところですかね」と回答。「(何でもできてしまうため)男性が入る余地がないので、見合う男性がなかなかいないのでないかと思います。だから(結婚したくても)婚期が遅くなってしまうこともあるのでは」と、彼女たちの恋愛論を展開していた。

■男女で食い違うセーラームーンの消費の仕方

 同イベントでは、こうした世代論だけでなく、アニメ版『セーラームーン』の変身シーンの演出に、うさぎの成長過程が描かれていたという考察も繰り広げられた。第1期~第5期まで、シリーズごとにつなぎ合わせた変身シーンの映像をもとに、「少女から女性にどんどん変化していくんですよ。第3シリーズの変身シーンには、ちょっとバレエっぽい優雅な動きも入って来たりして、明らかに思春期特有の“男子からの目線”を気にしているんです。第4シリーズではお母さんのようなイメージになって。最後の第5シリーズは神様に……」と、うさぎの成長とともにその“魅せ方”が変わっていると解説。こうした変化は、アニメ『セーラームーン』が、“幻想の美少女”を描いたものではなく、視聴者の少女たちの目線に寄り添いながら、成長してゆくことへの夢を見せていたのではないか、とも感じてしまう。

 その一方で、ラリー氏は「でも結局セーラームーンは性の対象なんでしょ?」と、男性である稲田氏に遠慮なくツっこむ。なんといっても本書の中には「随所にみられる性的な演出」という項があり、「敵がうさぎの胸のブローチを鷲掴みする構図がエロい」「凌辱を想起させる演出がちょくちょくある」といった解説があるのだ。対して稲田氏は、「性的な対象としてはまったく見ていないけど、アニメファンとしては、ヒロインが顔を赤らめる表情とか細かくチェックしてしまうんですよ。明らかにこれは狙っているだろうという描写もあったりして」と語ったが、女性読者からは「そうした描写からセーラームーン世代の性的価値観を定義するのは深読みしすぎだという指摘もされました」という。

 どうしても生じてしまう、『セーラームーン』を見る男性と女性の目線のズレも包み隠さず告白した稲田氏だが、「本書の編集者がまさにセーラームーン世代の女性なんですよね。サブタイトルに“アラサー女子の解体新書!?”とちゃんと疑問符をつけた彼女は素晴らしいですよ。“アラサー女子の解体新書だ!”と言い切ってはいない」と、ラリー氏がフォローしたように、本書はアラサー女子を『セーラームーン』という作品を通して考察してみた、という実験的な1冊であり、『セーラームーン』が彼女たちの人格形成に必ずつながっていると早合点もしていないのだ。セーラームーン世代に当てはまる女性たちは、同作品がなぜ社会現象になるまで私たちを引きこませたのか、『セーラームーン』とそれを消費してきた自分の価値観を“俯瞰”しながら読み進めてみるのが面白いかもしれない。

 また、イベント後半ではラリー氏の書籍の話に。ラリー氏が、センスのハードルを上げ、芸人として売れるプロセスを大きく変えてしまったダウンタウンの罪深さについて言及すると、会場からは「なるほど」という声が漏れていた。今のテレビで活躍する芸人がなぜ売れているのかだけでなく、有吉弘行やヒロミの復活さえも紐解くことができる1冊だと稲田氏も太鼓判を押す。イベントを通して、世間に大きすぎる影響を与えたアニメと芸人について考えさせられる、濃密な3時間であった。
(石狩ジュンコ)

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しぃちゃん



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