『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~【9月】

女子マンガで描かれる“女バトル”! 『夢の雫、黄金の鳥籠』こそ“女の総合格闘技!?

女子マンガ研究家の小田真琴です。太洋社の「コミック発売予定一覧」によりますと、たとえば2014年8月には1006点ものマンガが刊行されています。その中から一般読者が「なんかおもしろいマンガ」を探し当てるのは至難のワザ。この記事があなたの「なんかおもしろいマンガ」探しの一助になれば幸いであります。前編では8月の話題のマンガと少女マンガ誌の最新情報をご紹介します。

【話題】いじめ、カッコ悪い! 江角マキコさんもビックリの、マンガの中の女のバトル

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(左)『夢の雫、黄金の鳥籠』5(小学館)(右)『ちぇみと三兄弟』1(祥伝社)

 現実は時にマンガ以上にマンガ的で、たとえば例の「バカ息子」落書き事件。江角マキコさんが対立するママ友=長嶋一茂さんの妻を疎んじて、マネジャーに命じて長嶋家の塀に「バカ息子」と落書きさせたのではないかと騒動になっている一件ですが、登場人物といい動機といい行動といいボキャブラリーといい、全てが心底バカバカしくて文句のつけようがありません。当人たちは至って大真面目なところも高ポイント。

 こうなると(どうなると?)マンガも負けていられません。同等かそれ以上に面白い、女同士のドロドロバトルマンガをご紹介いたします。

 真っ先にオススメしたいのが、8月8日に5巻が発売された篠原千絵先生『夢の雫、黄金の鳥籠』(小学館)。舞台は16世紀のオスマントルコ帝国のハレム。皇帝の側室ヒュッレムと、第一夫人ギュルバハルの、恐ろしすぎて背筋も凍るキャットファイトを描きます。食事に小石を入れるのは朝飯前。スープに毒を入れるのも、もはや調味料感覚。海に沈める、拉致る、襲う……ギュルバハルさんときたら、本気でヒュッレムを殺りにきてるものですから、いじめ方にも躊躇がありません。受けて立つヒュッレムは知略でいなしつつも、たまには反撃してみせたりしながら、ついに懐妊。しかしその子は本当に皇帝の子なのかという疑惑も持ち上がりつつ、物語はいよいよ全面戦争へ……! これぞ女の総合格闘技と言えましょう。

 同じく8月8日発売、いがわうみこ先生『ちぇみと三兄弟』1(祥伝社)に登場する長男の恋人もなかなかのものです。母を失い、天涯孤独の身だったちぇみは、ある日再会した亡き母の元夫の連れ子とその兄弟たちに引き取られます。ひと癖もふた癖もある登場人物たちの中にあって、実は最もスパイシーなのが長男・御舘田見の恋人、鬼塚懐知でした。おしとやかな立ち居振る舞いの一方で、たとえばこんなセリフを彼女はちぇみに吐いてみせるのです。「ったく、ほんっと邪魔なのが入ってきたわねえ。せっかく姑も小姑もいない小金持ちのいい男見つけたと思ったのに、いきなりこんな小猿が現れるなんてね」。そしてちぇみがベランダに出た隙に窓を内側からロック! スリッパには画鋲をセット! 紅茶には異物混入! 正統派のいじめテクを存分に披露してくれます。

 そして今さら紹介するまでもない大ヒット作、8月28日に発売されたよしながふみ先生『大奥』11(白泉社)の治済は怖かったですね~。毒を盛ったり、踏みつけたり…暴力が向けられる先は子どもですが、治済の心の闇は「子どもが嫌い」とかそういう単純な感情に由来するものではありません。全ての関係性の中の病理なのです。

夏終わりの気だるさにはマンガだね~

しぃちゃん

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