『女たちの武装解除』刊行記念インタビュー(後編)

「“幸せに見えること”と“幸せであること”は別」小島慶子が説く幸福のカタチ

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「自分にとって何が幸福かわかなかったら書き出してみては?」と提言

(前編はこちら)

 女性誌「VERY」の人気連載をまとめた著書『女たちの武装解除』(光文社)を上梓した小島慶子さんは、本書で母親が考える幸福の価値観に縛られ苦しんだことを明かしている。では、人にとって真の“幸せ”とは何だろうか。

――小島さんは、元女子アナというステイタスもあり、女性として成功していると言えると思います。そうでありながら、なぜ家族の問題や苦悩を語り、発信し続けているのでしょうか。

小島慶子(以下、小島) こんな話、どこにでもあると思うからです。母とのことは死にたいくらい苦しいことだったけど、私は自分の体験が特別だとか、人より苦労したとはまったく思ってません。私みたいな、はたから見たら何の問題もないような人生でも、「家族ってなんだろう」「自分の幸せはどうやって決めたらいいんだろう」と悩み、つらい思いをしている人はいっぱいいると思うから、「そうなんだ、カウンセリングを受けたら気が楽になるんだ」「そういう考え方をすると、ものの見方が変わるんだ」と誰かが思ってくれたらうれしいなと思って書きました。

――「VERY」読者は、世間からは「何不自由なく暮らせている女性」というイメージがあります。そういった雑誌で価値観に一石を投じる文章を提示したということは、彼女たちにも封印された思いがあると考えたからですか。

小島 「VERY」読者のように、私もそこに含まれるんでしょうけど、はたから見て箇条書きにした時の条件が整っている人というのは、悩むことすら「贅沢」「苦労知らず」と言われたりする。それは偏見だと思うんですよね。赤貧の底にあって苦しんでいる人であっても、生活面の悩みから一切自由な人であっても、どんな状況でも、生きることにおいては切実な悩みや葛藤はきっとあるでしょう。それを他人が「あなたの悩みなんて取るに足りない」なんて言えないと思うんです。他人がどう言おうが、本人が苦しいといえば苦しいんです。

 「『VERY』を読んでいる人にも、こんな悩みがあるんだ」という考え方自体が、すごく不自由だと思います。それは、「『VERY』を読んでいる人みたいな暮らしをすれば、悩みがなくなる」と考えてるわけでしょう。なくならないですよ。お金をいくら稼いだって、旦那がいくら出世したって、どれだけきれいに生まれたって、悩みはありますよ。だって生きてるって、思うようにならないことだから。他人が客観的に評価しやすい条件を持ってるかどうかで幸福かどうか、悩みがあるかどうかを推し量ること自体が、とても貧しい考え方だと思う。

――確かに、潜在的に“条件”だけで他人を評価してしまうケースはあるかもしれません。

小島 本のタイトルを「武装解除」にしたのは、「見栄を張る」という意味の武装も解除したほうがいいと、意味と同時に、「どうせ恵まれているあの人たちに、私の気持ちなんかわからない」と決めつけて敵対心を燃やす「武装」も解除したほうがいいと思ったからです。意外と同じ悩みで仲間になれるかもしれないし、仲間になれないまでも自分と同じように苦しんでる人はきっとたくさんいるだろうから、孤独じゃないと気付きますよね。どちらの意味でも、「武装」は解除したほうがいいなと思っています。

――先ほどおっしゃっていた「箇条書きにして条件が整っていること」は、まさに小島さんのお母さんが若かった時代、高度経済成長期に求められていました。現代は、どうすれば幸福になれるのか、何を幸福とするのかが見えにくい。却って難しい時代ではないでしょうか。

小島 “幸せになること”と“幸せに見えること”を混同し、“人から幸せに見えること”イコール“幸せ”と思い込んでしまうと、とても苦しいと思います。自分が何を喜びとするのかをまずスタート地点に置き、それが自分といっしょに生きていく人も「生きるって素晴らしいね」と思えることであれば、他人の目は気にしなくていい。「人から見たら、みっともないかも」と自分に余計なツッコミを入れるのは不幸だと思います。

 他人からどう見られるかは、自分には決められません。他人は見たいようにしか見ないんですよ。私を嫌なやつだと思いたい人は嫌なやつにしか見ないですし、素敵な人だと思いたかったら、素敵だと思うでしょう。どう見えるか自分で多少工夫することはできるけど、コントロールはできません。

――そういった意味では、SNSが発展している現代は、「他人によく見られたい」と“武装”している人が多いと思います。

小島 私は自分を商品化する仕事をしている中で、自分では決められないもので自分の評価が決まり、自分にとって大切なものをちゃんとつかんでいないと振り回されて終わってしまうことを痛感しました。だから、本来は自分を商品化しないほうがいいんですよ。私はそれがたまたま仕事なので、やるしかない。でも、暮らしの中で本来必要ないのに自分を商品化している人が多すぎる。自分に値札をつけて「高い商品だから買ってほしい」、つまり「人気者になりたい」「憧れられたい」「“いいね!”をたくさん付けられたい」「フォロワーを増やしたい」……それはどんどん自分を商品化して切り売りしていくことであって、フォロワーが増えれば増えるほど自分が理解されるわけで、決してありません。むしろその逆。商品化した瞬間に、自分は理解されないんだと腹をくくらなくてはいけないんです。仕事ならそういうものだと割り切れますけど、私生活でこれをやったら、壊れてしまいますよ。

 人は商品化すると“武装”せざるを得ません。武装しないと、好きなように消費されちゃうから。「見るのはここよ、バーキンよ!」「学歴よ!」と武装して喧伝しないと、生きていけなくなります。それは、とてもつらいこと。武装を解除すれば、理解されなくても腹が立ちません。すべての人に評価されなくたって、身近な家族や友人との関係だけで人は生きていける。「自分のことをわかってほしい」という思いは“世間”ではなく、家族や友人に伝えることだと思います。
(構成=安楽由紀子)

小島慶子(こじま・けいこ)
1972年生まれ。学習院大学を卒業後、95年、TBSにアナウンサーとして入社。2010年退社。『ゴロウ・デラックス』(TBS系)、『ハートネットTV』(Eテレ)、『ノンストップ』(フジテレビ系)に出演中。「VERY」(光文社)にてエッセイ連載中。近著に『気の持ちようの幸福論』(集英社新書)、『絵になる子育てなんかない』(養老孟司との共著、幻冬舎)などがある。

武装すると、常に他人を疑わなきゃいけないから疲れるのよね~

しぃちゃん

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