[官能小説レビュー]

2番目の男の体で初体験を実感する、10代処女喪失のリアリティ

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『13のエロチカ』/角川文庫

■今回の官能小説
『放っておいて、握りしめて』坂東眞砂子(『13のエロチカ』/角川文庫より)

 産まれて初めてのセックスが記憶に残っている女性は少ないのではないだろうか?

 そもそもオンナは、処女喪失の速さを、同級生と競い合っていたように思う。まわりの同級生はどんどん処女を捨ててゆき、初めてのセックスを誇らしく語る。残されたオンナたちは次第に焦燥してゆく……処女を捨てたら、とりあえず同性同士で発表しなければならない、そんな空気があった。10代のオンナ社会には、そんな逃げられないオンナコミュニティが確立されている。

 しかし、開通したところで、本当の意味でセックスをしたとはならないのがオンナの心理。相手のことが好きかどうか、気持ちいいかどうか、セックスを楽しむ余裕なんてなかった。どんな行程を経て、どんな挿入をされ、どう感じていたかんて、ほとんどすべて覚えていないはずだ。

 オンナとして、一度は体験したセックス。けれど、覚えていないから、もう一度体験してみたい……『放っておいて、握りしめて』(『13のエロチカ』/角川文庫)の主人公・ミチヨも、女性雑誌のセックス特集を熟読しながら、うろ覚えの初体験をトレースしていた。相手は、夏休みの部活合宿で知り合った、ほかの高校の男の子だった。

 宿舎の裏で慌ただしく済ませた初体験は、まるで夢の一片のようにミチヨの脳裏に残った。現実的に残った証拠は、太腿の内側に付いた精液だけ。あれは現実だったのだろうか、本当に自分は処女を喪失したのだろうか……ミチヨは、セックス特集を漠然と目で追いながら回想する。

 そこで現れたのが、遠い親戚で幼馴染のショウタロウ。今度はちゃんと、セックスを実感したい。そんなミチヨの願望を現実化させてくれる男だ。幼い頃は、鼻が効く。大人になると、つい頭でっかちになり、男の地位や名声までもが選別対象になってしまうけれど、10代の頃は、動物的なにおいを嗅ぎ分け、無意識のうちにオスとなる者を選別できていた気がする。そう、ミチヨは、なにかと理由を付けて会いに来るショウタロウの想いに漠然と気付いていたのだ。

 そして、本能の赴くままに、ショウタロウとミチヨはセックスになだれ込む……初めてのセックスは、どうしてもきちんと心に刻んでおきたい。自分自身の記念としてはもちろん、後で女友達に発表するためにも、どんなプロセスをへて処女を失ったかは、記憶しておかないといけないのだ。だからこそミチヨは、夏の合宿所で夢のように終わってしまった初体験をなぞるように、ショウタロウの体で、あの初体験を思い出そうとする。かつては気にも留めなかったショウタロウの仕草や股間の動きまでも、ミチヨは意識してしまう。ミチヨは、うっすらと髭の生えたショウタロウの顎に手を這わせ、下半身にそっと手をあてがう。女性誌のセックス特集をなぞりながら、丁寧に握ったり、さすったりする。

 オンナにとって、最初から2番目のセックスこそが、“初体験”と言えるのかもしれない。ばたばたと処女を喪失していく周囲の女友達に追いつくために、おざなりに喪失した一度目とは違い、二度目はもっと冷静にこなすことができる。よくわからないまま過ぎ去った一度目とは違い、冷静に挑んだ二度目のセックスこそ、より鮮明に記憶に残すことができるから。

 けれどやはり、行き当たりばったりで夢のように通り過ぎた最初のセックスほど、記憶ではなく、心に残っているものだ。技も感情も関係なく、純粋にオンナとして“開通”したという事実ほど、オンナにとって代え難い記念日なのかもしれない。

 キャンプ場での初体験の時には「わかったような、わからないような」行為だったセックスを、ショウタロウと行うことで実感したミチヨ。そして、タイトル『放っておいて、握りしめて』のような、相反する2つの気持ちを同時に抱く、もどかしい感情を知った。やはりセックスは、オンナになるための大切な分岐点なのだろう。

10代の頃は、女の子の方がずる賢いわね

しぃちゃん



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