『夫とは、したくない。』レビュー

ユーモア精神、無理っすわ~! 『夫とは、したくない。』の導く珍アンサー


『夫とは、したくない。~セックス
レスな妻の本音~』(ブックマン社)

 『夫とは、したくない。~セックスレスな妻の本音~』(ブックマン社)。センセーショナルなタイトルにドキッとする本書。10人のセックスレス妻が座談会で「夫としたくないこと」を本音で語りまくり、それらに対し、2万組のカップルの問題を解決してきた二松まゆみ先生が処方術を教えまくるという、夫婦円満対策本です。

 「なぜ、昨日の愛情が今日の殺意に変わるのか!?」とショッキングな帯文がついているんですが、結婚5年目の私、言ってる意味がわかります! 今まではそういった話を耳にする度、アタシたちもぉ、そうなっちゃうのかにゃ?」的な感じで夫に甘えるという、自分には関係がないどころか、むしろ夫婦関係の旨味要素として「夫に殺意が湧く」系の話は使用させていただいていました。

 そんな具合に産後もラブラブだったのに、産後4カ月後に突如、夫のことが「超どうでもいい期」が訪れました。きっかけは、夫の両親。私は「妻が両親と会うのは当然のこと」と思っている感じの夫の態度が許せなくて、「別に義両親に対して不満があるわけじゃない。だけど、労ってもらえないと頑張れない」と本音を言ったことがありました。しかし夫は「言っている意味がわからない」の一点張り。ほかのことではソウルメイト並みに話がわかり合えるのに、義両親のことではまったく話が通じない。その絶望から「夫、超どうでもいい期」が到来しました。とにかく夫の顔も見たくない。しかし殺伐とした家庭内が1カ月ほどたつと、いつの間にか会話が戻り、また前のように仲良くなっているのです。それからは「どうでもいい期」がコンスタントにやってきています。10年前に結婚した友人の、“夫の悪口を言いまくってたかと思えば、何事もなかったようにラブラブになってたりする”あの感じが自分にも訪れた、そんな気がビンビンする……。

■夫とタオル共有はNG、でもフェラはOK

 本書では、座談会に参加する人妻たちの自己紹介からスタートです。「なぜ、夫とセックスしたくないか?」という問いを投げかけられたルミさん(43歳)は、44歳の夫が「お風呂に入らないから」と即答。エッ、そっちの問題?! マオさん(38歳)も「洗濯物を一緒に洗いたくない」のは「ダンナが臭いから」。ナオミさん(41歳)に至っては、「夫は風呂に入らず、仮性包茎なので、ペニスには垢が1週間分溜まっている。歯も磨かないのでチューもしたくない」と暴露。座談会に入ると、ほかの人妻たちも夫の体臭・加齢臭対策トークが止まらないようで、「夫の枕カバーだけは毎回、塩素漂白している」「(寝ている夫に)ファブリーズを直接かける」等、秘策を伝授し合っていました。夫の匂いや不潔さで困っている妻がこんなに多いのか? と疑問に思ったので、「夫 お風呂に入らない」で検索してみると、同じ悩みを持った妻たちの書き込みが無数に現れました! 夫たち、風呂に入りさえすれば、いろいろ円滑にいくのに……。次に二松さんが投げかけた「夫とディープキスできない人は?」という質問に挙手したのは10人中8人。そこでまたナオミさんが、「うちの夫は洗っても洗っても発酵したような沼みたいなにおいが沁みついているから無理」と発言。ナオミのダンナ、風呂入れよ! 洗濯も一緒にしたくないくらいでも、「ディープキスもタオルの共用もできないけど、夫が齧ったものは食べられる」という妻が同じく8人もいました。理由は「だって家族ですもの」で収まってますけど、もう「家族」の概念がよくわかりません!

 「フェラチオ」も、「したくない」ことの代表格に入るそうで、「フェラチオは嫌いだけどやっている」という質問には7人が挙手。理由は「面倒くさい」に続き、またあのナオミが「アゴが疲れる! 臭い! 『美味しい?』って訊かれたら、絞殺したくなる」と過激発言。むしろ「ナオミはなんで結婚生活を持続しているのか」と気になってきました。

 座談会に参加していたのは「結婚10~20年」の人が半数。結婚5年目の私からすると、「臭いし一緒のタオルも使いたくないけど、フェラもできるし食べかけのものが食べられる」というのは、やはり年季の違いを感じます。5年目の私にとっては、「仲がいい(耳かきもセックスもなんでもOK)期」が基本であり、「超どうでもいい(近寄るな!)期」はスペシャルシーズンなわけです。その2 つの期が順繰りにやって来るのを10年以上繰り返していると、2つが混ざり合って「熟成(タオルNG、フェラOK)期」になるのかな? そんな風に思いました。

■「夫のにおい=敵」に原因あり?

 そしていよいよ後半は、二松先生による「処方」の解説が始まるのですが、まずセックスレスは「夫婦の寝室が別」になると起こりやすいとのこと。「旅行の時くらいは、ダブルベッドで寄り添って寝てみてください」と書いてあるけど、沼の匂いを放つ夫が相手のナオミはどうしたらいいんですかね? 他人事ながら心配になりました。さらにその勢いで夫が「今度ラブホテルに行ってみないか?」と言ってきたら、「は? いまさらラブホテル? その金で寿司でも食べたほうがよっぽど楽しいわ」とか言って水をさしたりせず、「夫の不器用な歩み寄りは、精一杯汲み取りましょう」とのこと。汲み取りたくても、その「不器用」が可愛いなと思う時と許せない時があるわけで、その辺は妻本人の努力とか気遣いとかそういう問題じゃないような気がするんですけど……。むしろそのダブルベッドで久しぶりに寄り添った時、妻が夫に言ってほしいのは「今度、美味しいお寿司でも食べに行こう(その後、ラブホテルに行こう)」なんじゃないの? 例えばナオミなら「俺、これからはちゃんと風呂に入るよ」ってダンナに言われたら、それだけでハッピーな気持ちになって、そこでやっと「臭いって言って、ゴメンね」って言えるし、沼臭いくせに「ラブホテル」とか言われても、やっぱ汲み取れなくて当たり前な気がするんだけど、「熟成期」だとまた違うのでしょうか。 

 二松先生の処方は続きます。「夫とはキスをしたくない」場合は、「キスすると愛情が高まる。今はジューシーな唇で男性をそそることができる『キス専用美容液』があるので活用」するとよいそうです。だから、沼臭い夫が相手のナオミはどうしたらいいんでしょう? 「フェラチオがイヤ」な場合も「夫がどうしてもお風呂に入ってくれない場合は、あったかタオルでペニスを拭くという、風俗店でよく行う方法を活用しましょう」と二松さんからのご指導。これはナオミにも効果がありそうですね!?

 座談会や処方を読んでいて思ったのは、私のような「未熟成期」の妻も「熟成期」の妻も共通して持っているのは、「夫に味方でいてほしい」という気持ちではないか? ということ。私は、夫の両親と会うとドップリ疲れてしまうのです。その疲れは夫からの「疲れたでしょ」の一言、言葉でなくてもそんな態度ただ1つで、癒やせるわけです。簡単なことだからこそ、それがもらえないと「これからやっていけるか不安」になってしまう。夫はそんな風に思っていなくても「私じゃなくて義両親の味方をするんだ」という気持ちがなぜか噴き出してきて止まらないんですよね。どうしてなんだろう? と考えてみると、夫に対して「味方感」を何よりも求めているということだと思います。座談会に出てきた、お風呂に入ってくれない夫を持つ妻も、同じなんじゃないか、と感じました。「どうしてもイヤなこと」を頼んでも解消してくれない、というのは一気に「敵」感が出ます。言い換えれば夫ではなく「におい」が敵なわけで、でも夫はその自分でしか倒せない敵を「やっつけて(風呂に入って)」くれずに、共存しちゃってるわけですよね。夫自身のことが嫌いではないからこそ、夫が自分の味方をしてくれないのは、とてもつらい状態だと思います。

■ユーモアよりも味方感をアピールして!

そもそもどうして結婚したのかと言えば、「絶対的な味方」という立場がほしいというのもあった気がします。結婚したばかりの頃は2人だけの世界が保てるけど、長くなると世間や社会から「あなたたちは夫婦(味方同士)」と認識されているだけに、自分達でもそうなんだと思ってしまい、それまで自然にしていた夫婦内の「味方感」の演出(甘えモード等)がおろそかになり、殺伐とした空気が流れる。座談会の中で、ミカコさん(39歳)が「私の祖父が亡くなった時、夫が『俺まで葬式に行くことはないよな』と他人事だった」と言っていたけど、同じことを言うにしても、「俺は仕事で行けないけど、気をしっかりね」とか、「味方感」を漂わせるだけでいいと思うんですよね。

 二松先生はセックスレス解消についてこんなアドバイスも述べます。「『今日は一日、ノーパンで過ごしてごらん』。夫のそんな悪戯な誘い文句に、『もう、しょうがない人ね』とちょっと呆れながらノッてあげるユーモア精神も、セックスレス防止には必要な要素の一つです」。……やっぱ、無理っすわ~。もし夫が悪臭放ちながら「義両親と仲良くしろよ」的な態度で「ノーパンで過ごしてごらん」と言ってきても、無理っす、ノレないっすよ~。そんなアブノーマル展開よりも、全国の夫は単純にお風呂に入ってにおいを落とし、アロマオイルマッサージの技術を持つだけで、日本のセックスレスの半数は解消されると確信しています。先日、健康目的のアロマオイルマッサージを受けたら、女の人に背中を撫でてもらってるだけなのに、ビックンビックン体が勝手に反応してしまい、アソコの髄が火照るというか、「うっくぅ……」とか妙な声がどうしても出てしまい、大変に恥ずかしい思いをしました。全身トロトロにされた上で「ノーパンで過ごしてごらん」と言われれば、もうジュンジュンですよね。そこに「ユーモア精神」なんてまったく必要がない! 「私は君を気持ちよくする人間です(味方です)」という夫からのアプローチが、何よりも近道な夫婦円満法なんじゃないかと思ったのですが、「未熟期」の甘い考えなのでしょうか……。
(田房永子)

ナオミの旦那に会いたいよ

しぃちゃん

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