[TVツッコミ道場]

酒、ロック、そしてインド……変わり者女優・成海璃子はぶれていない

2012/07/25 16:00
narumiriko01.jpg
成海璃子オフィシャルサイトより

 成海璃子といえば、たしか『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)だったと思うが、自室のVTRが流れた時、そのCD棚に、村八分やスターリン、INUなど、かなりコアなアーティストのアルバムが並んでいたことに驚いた。音楽雑誌での「私が選ぶ日本の名盤」的な企画でも、これらに加え、ルースターズや遠藤賢司、友川かずきなどなど、とても19歳とは思えないラインナップを挙げていた(しいていえば、ブルーハーツが普通に見えるというか)。もう、不思議ちゃんとかサブカルちゃんというよりも、単に「変わり者」という方が(褒め言葉ですが)似合うような気がする。

 そんな成海が出演した、7月20日放送の『スタジオパークからこんにちは』(NHK)。まもなく20歳になるということで、オープニングトークの際「20歳になったらやってみたいことは?」という質問が振られたのだが、成海の答えは「『飲みに行こう』とか言いたいですね」。「お酒を飲んでみたいです」というのがよくある受け答えだと思うが、「『飲みに行こう』と言ってみたい」というところの視点のズレに、早くもちょいヘンテコ臭を感じる。

 現在、NHK大河ドラマ『平清盛』で、後白河上皇の妻となる、滋子役で出演中の成海。この役がまた、突然アカンベーをしてみせたりなど、破天荒というか、やはり「変わり者」的な役柄なのだ。この役柄についての感想を尋ねられた成海は「けっこう、酒に強い役で。大酒飲みっていうこととかも聞いて、すごい、面白そうな役だなって思ってたんですけど」と、なぜかまたも「酒」で返す。

 この後、過去の出演作のVTRが流れる度に、成海は「アーーーー!」「ワーーーー!」と叫びながら、耳をふさいで悶絶。ただ、昨年出演した映画について、「とにかく恥ずかしいですね、この映画」「けっこう、恥ずかしいセリフが多くて」と言ってしまうのは、聞きようによっては、やんわりと苦情を言っているようにも受け取れる。沈む夕日に「沈むなー!」と叫ぶシーンにも、「冷静に考えたら、めっちゃ恥ずかしいぞと思って」とか言っている。でも、「すごい好きなんですけど。この作品は」ということなのでOKなのでしょう。

 そんな成海には、やはりディープな音楽の話は欠かせないようで、自宅からアナログ用のポータブルプレイヤーと、レコードを持参してきた。取り出したのは、ローザ・ルクセンブルグのセカンド。80年代の名盤だが、この番組の視聴者が、「ああ、知ってる!」とか「懐かしい~」と思ってくれるような類いのものではなさそうだ。「高校生の頃、大好きでよく聴いてました」と言っているが、生まれるよりはるかに前の音楽ばかり、どこでこういう音楽を知ったのだろうか。

 そして、その場で自らプレイヤーを操作してレコードを回してくれるのだが、プレイヤーがスピーカーなどにつながれていないため、流れてくる音が、小さく「シャカシャカ」鳴ってる程度にしか聞こえない。「どんな音楽好きなんだろう?」と興味を持った視聴者にはまったく伝わらないが、成海本人はといえば、「ちょっとヤバいかもしれないですね、これ!」と興奮し、身体でリズムを取って、お茶を飲む。さっきまでの照れ照れな様子とうってかわって、いきなり自由なリラックスムードに。お茶飲みながらプレイヤーを操作していたら、ボリューム大きくなりすぎちゃって、「ンーーー!!」と、ストローくわえながら絶叫したりなど、本当に別人のよう。CDとアナログの違いを聞かれたら、「えー、全然ちがくないですか?」、レコードもジャケ買いすることあるか聞かれると「けっこうヤバいのが好きで。なんか、ジャケがヤバいって思ったら、買っちゃう事が多いですね」と、口調も違ってきてる。こっちが素の成海なんだろうか。

 とどめに出たのが、「インド好き」エピソード。なんか、ぶれてないです。「あ、なんかひらめいたんですよね。お、インドだみたいな」「高校生の時から、すごいインドに行くしかないんじゃないかなと思って」など、インド愛を語る。昨年、実際にインドを訪れたそうだが、「やっぱり、めちゃくちゃ刺激的ですよね」とますます夢中になったようで、「ほかに行ってみたいところは?」と尋ねられても、「日本でも行ってみたいところとかはありますけど、まぁインドかなぁみたいな」。さらに、「好きな男性のタイプ」も、「カレーが好きな人」。

 やっぱりぶれない。酒とロックとインド。これが成海璃子の構成成分だということがよくわかりました。
(太田サトル)

最終更新:2012/07/25 16:39
『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』
高円寺によくいる系
アクセスランキング