映画『ライバル伝説』インタビュー

女同士の壮絶なライバル関係……有森裕子が明かす19年越しの『ライバル伝説』

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有森さん、ライバルがいる人生ってどんな感じっすか?

 男のライバル関係というとスポーツ漫画のような爽やかな場面が浮かぶのに、女同士のライバルとなると急に漂うドロドロとした空気。女のライバルは絶対に女、ではないでしょうか?

 映画『[劇場版]ライバル伝説~光と影』は、ライバル関係にあった2組のアスリートを取り上げたスポーツドキュメンタリー。過去にテレビ放送された内容に追加映像を加え、当時の映像や写真、現在のインタビューで再構成したものです。登場するのは、元巨人軍の江川卓と西本聖。そして1992年バルセロナオリンピック女子マラソン日本代表の座を争った、有森裕子と松野明美。華奢な体に可愛らしいルックスで世間の人気を集めていた松野選手は、代表になりたいと熱心にアピール……。しかし陸上連盟が選んだ最後の代表選手は、有森裕子でした。結果的にバルセロナで銀メダルを獲り、一躍スターになった有森選手。それから19年間、一度も顔を合わせなかった2人が、このドキュメンタリーのために再会するシーンは見逃せません。代表争いの当時、そして再会のとき、2人の胸に去来したものはなんだったのか? 有森さんご本人に直撃してきました! 

――私たちのような一般人でライバルがいる人は少ないと思うのですが、アスリートの方たちはライバルがいることが多いんでしょうか?

有森裕子氏(以下、有森) ライバル心を持ちやすい人は結構います。でも私はあまり作らない方ですね。私と松野さんの関係で言うと、私にとって彼女はライバルじゃないんですよ。レースで直接戦ったこともないですし。だけど、松野さんにとっては私がライバルだった。別に彼女を避けてたわけではないし、たまたま対決できなかっただけ。でも「故意に直接戦わなかったんじゃないか」とずっと思い込んでいたのが、彼女の不幸だったところなんですよね。

――今回の映像で、松野さんからかなりライバル視されていたと知ったそうですね。

有森 うん、そこまで意識してたんだって。オリンピックの選考のときに彼女がいろいろつらい思いをしたことは、わかります。でも、それより前の合同合宿あたりから私を意識していたとは、知りませんでしたね。その時は私より彼女の方がずっと強かったから。強い分、孤立してることは気になっていたけど。

――松野さんのほかにも、ライバルとして誰かを意識することは今までなかったんですか。

有森 あまりなかったですけど、素質のある体を持っているのに使い切れていない人、それで満足してしまっている人には負けたくなかったです。

――今回の企画で松野さんに再会したのが19年ぶりだったそうですが、その日の心境は覚えていますか。

有森 ……本当に久しぶりだったので、どうなるかなって思いながら行きましたね。ただ、会った瞬間にああなったのは、自然でした。お互いにつらかったから。彼女がキツかったのも理解はできるから。だから、すごく会いたかったんだろうなって思いました。

――再会の場で松野さんに直接「私だったら金を獲れた」と言われましたが……。

有森 いえ、それはそうだと思いますよ。「そんなのなんとでも言えるよ」って思われるかもしれないけど、彼女は本当にそう思ったし、そう言えるほどやってきたんです。

――じゃあ松野さんにああ言われても驚かなかったんですか? 見ている側としてはハラハラしていたんですが(笑)。

有森 全然びっくりしなかったです。だって当時も彼女は「私なら金メダルを獲れます」って言っていましたしね。ただ、その時の私が思ったのは、「マラソンはわかんないよ」って。

――マラソンは何が起こるかわからないと。

有森 うん。1万メートルだったら、絶対に彼女の方が上です。でも「マラソンは違う」と私は思っていた。私がここまで来られたのも、なぜかわからないぐらい。だからこそ私はマラソンをやってるんです。それが私の自信だったんですよね。

――同じアスリートでも気持ちの持っていき方が違う。すごく対照的な2人に見えました。

有森 立場が違ったので、そうならざるをえなかった。どっちがいい悪いでもないんです。今回の再会で、お互いにつらかったということをわかり合えた気がします。世間は、その時は同情してくれても、のど元過ぎれば熱さを忘れちゃうので。

――アスリートとして、人間として、立ちふさがる壁をこれまでどう乗り越えてきたんですか。

有森 映像でも使われてますが、現役時代は日記を細かく書いていました。練習メニューの内容はもちろんですが、起きた事よりも、私はメンタルなことを書く方が好きでした。そのほうが後の参考になるんですよ。文句でもなんでもいいんです。大事なのは、書かれていることに対して、その後の自分がどうしたか。あの人にあんなこと言っちゃった、でも今はどうなのか。ああ思ったけどそれを力にできたな、とか。実際は見せられないようなことまで書いてましたよ(笑)。人を妬んだり、恨んだりもしたけれど、それを頑張る力に変えることが大事だったと思います。

――現在の有森さんのライバルは誰ですか。

有森 やっぱり自分です。昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分。反省することもいっぱいありますよ。反省してるわりには変わってないけど(笑)。もう人から注意されることが少なくなってしまっているので、自分に厳しくいたいですね。

有森裕子(ありもり・ゆうこ)
1966日生まれ。岡山県出身。AB型。1990年、大阪国際女子マラソンで6位入賞、初マラソンで日本最高記録を作る。翌年の同大会では2位となり、日本最高記録を塗り替える。1992年、バルセロナオリンピック女子マラソンで銀メダルを獲得。1996年アトランタオリンピック女子マラソンでも銅メダルを獲得した。現在は、日本陸連女性委員会委員、NPO法人ハート・オブ・ゴールド代表理事、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本理事長 、日本体育大学および日本体育大学女子短期大学部客員教授、就実大学 及び 就実短期大学客員教授など、スポーツを通じた社会活動を精力的に行っている。

【男のライバル関係!】
 有森裕子×松野明美と対比する構図で描かれていたもうひとつの『ライバル伝説』、それが江川卓×西本聖。劇中では、70年代に巨人のエースの座をめぐって火花を散らしてしていた二人が再会を果たし胸中を初めて語り合っている。「ライバルは必要だ」と語る江川のライバル観とは?

「西本と同じような雑草魂は自分にもあるが、彼はそれが出せてて僕は出せなかった。女性でも表に出るタイプと内に秘めているタイプの方がいらっしゃると思いますが、たぶん西本が女性だったら自分をアピールできるタイプですね。(有森と松野の作品は)すごかったですね。どちらかと言うとアピールが激しいのは松野さんで、有森さんは少し内に秘めている方かなという印象を持ちました。本人たちの選択ではないことが起きて大変だったなと思いますが、難しい時期を過ぎて今は両方とも立派に歩まれているので、結果的に良かったのではないでしょうか」

――では、男性同士と女性同士のライバル関係は違うと思いますか?

「それは今度生まれ変わって女性になったときにお答えしたいですね(笑)」

『[劇場版]ライバル伝説~光と影』
6月16日 (土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル新宿、テアトル梅田にて全国順次公開
プロデューサー・総監督/菊野浩樹
出演/江川卓 西本聖 有森裕子 松野明美ほか
世間を騒がせながら実力と人気を兼ね備えた「怪物」江川卓と、ドラフト外入団から巨人軍エースピッチャーの座まで這い上がってきた「雑草」西本聖。オリンピック女子マラソン日本代表の最後の1枠をめぐって、日本中を巻き込んでの争いになった有森裕子と松野明美。ライバル関係にあった2組が、今初めて向き合い、当時の思いをぶつけあう、緊迫のスポーツドキュメント。

公式HP

『アタックNo.1 THE MOVIE COLLECTION [DVD] 』

とはいえ、一方的にライバル視されるのもつらいわよね

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