[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」9月7日号

櫻井翔まで! 「死」を語り「幽霊」を語る「婦人公論」よ、どこへ行く

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「婦人公論」9月7日号(中央公論
新社)

 今号の「婦人公論」の表紙は美輪明宏。髪の毛もお召し物も光り輝く黄色でかなりの迫力です。そしてその横には、特集のタイトル「私らしい最期を迎えたい」。なんだか変わった宗教の広報冊子のようにも見えます。ただならぬ雰囲気を醸し出している「婦人公論」、では、中身を見てみましょう。

<トピック>
◎特集 私らしい最期を迎えたい
◎加賀まりこ×櫻井翔 私たちの共通点は悩むよりも走り出すこと
◎誰にも言えないこの世の不思議体験

■死をリアルに感じている人の言葉に涙

 特集のいちばん初めは、78歳で前立腺がんとパーキンソン病を患っている永六輔のインタビュー。そのあとに「死の準備講座」「女性著名人アンケート 私の遺言」などの企画ページがあり、後半のがんで余命半年を宣告された俳優・入川保則のインタビューへと続きます。「死」をリアルに感じている人に直接当たった硬派な内容です。特に、入川保則の言葉には感動しました。

「僕は5歳のとき、生まれ育った神戸で終戦を迎えました。街は空襲で焼け野原。たくさんの友だちが焼け死に、餓死していきました。(中略)そんな原体験があるからか、70年も生きて『死にたくない』なんていうのは、『何をぜいたくな』としか思えない。よくぞ70歳まで生かしてくれた、と感謝したいくらいです」

「一人暮らしで余命の日々を過ごすのを『心細くはないですか』と、心配してくださる方もいますが、なに、この末期がんの独居老人は、死を前に、とくに肩肘張ることもなく、生活を楽しみ、陽気に過ごしております。(中略)僕は僕の人生を精いっぱい生き、そして今、ここに一人でいる。自分で選んだ”無縁”です。旅立つときは、誰に見守られずとも、一人で十分」

 迫り来る死に対して、このように落ち着いた気持ちになれるのは、充実した人生を送ったからこそ。見習いたいものですね……なんてマジメな感想を抱きつつ、めくった次のページは、「婦人公論」お得意の読者体験記。「相続でモメた、こじれた、縁切った!」というテーマで、親の死後に遺産相続をめぐって起きた姉妹のドロドロや、娘と後妻のグチョグチョが描かれています。本当に身もふたもなく心が汚い! しんみりと涙させといて、最後の読者手記で徹底的にオトす。「婦人公論」おなじみのフリーフォール特集でした。

■ビッグなオトコと、まさかのベッドイン!?

 静かにあちら側に旅立つ方がいらっしゃれば、突然訪ねて来る迷惑な客もいます。ということで、「納涼スペシャル 誰にも言えないこの世の不思議体験」という企画が組まれています。柴田理恵の幽霊目撃談を含め、読者の体験記が紹介されているのですが、筆者がいちばん怖かったのは、17歳のころ金縛りに遭ったという55歳の方の体験。

「誰かがズリズリと私の布団の上に上がってくる感触が。そして『ばあっ』と言わんばかりに、私の顔をのぞき込むのです。(中略)どこかで見た事があるその顔は、後になって『中大兄皇子』と判明」

 中大兄皇子は7世紀の人物。教科書にも載っているあの超ビッグなお方が、寝ているアタシの体の上に乗っかってくることなんてあるんですね~、キャッ。……というかさ、死の特集を組んだ同じ号で幽霊の特集を組むというこの「婦人公論」のセンス、どうですか。笑っていいのか悪いのか、戸惑うところです。いろんな面で手厚くケアしてくれている、親切心のようにも思えます。

 幽霊特集の最後には作家で全日本妖怪推進委員会肝煎(きもいり)の京極夏彦のインタビューが掲載されているんですか、「死後の世界は、生きている人の心の中にあります」「『いなくなったあの人をちゃんと覚えていよう』『受けた恩を忘れないようにしよう』、そんな思いが『霊魂』という概念を生み出したのです」と解説しています。これは巻頭特集に対するアンサーなのかもしれません。死と生が表裏一体となり、中大兄皇子が飛び出す「婦人公論」。カオスです。深いです。こんなに深い女性誌はほかにないと思います!

■櫻井くんだって死を語っちゃう

 中盤では、櫻井翔と加賀まりこが映画『神様のカルテ』のPRのために登場し、対談しています。映画の内容に従った結果ではあるんですが、奇しくもふたりも死について語り合っていて特集にぴったり。「死と向き合うことは、生きることなのかな」「死を受け入れるのはきっと孤独な作業」と語る櫻井の死生観は入川保則に比べたらはるかに浅薄なものですが、それは仕方ありません。でも、「僕も孤独なのでしょうけれど、あまり自覚がありません。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、運命共同体の『嵐』のメンバーがいる」と、ファンが大喜びしそうなことをぬかりなく語っている点はさすがだと思います。

 ということで、今号の「婦人公論」は妙なトーンで、読み終えた時、まるで宮崎駿のアニメを見たような、異世界から帰ってきたような感じがしました。生と死、怒り、悲しみ、笑い、夢、そして現実。人生のすべてがこの1冊に詰まっている、と言うと過言ではありますが、読んで生きる意味について何かしら考えさせられることは確かだと思います。1年前の「婦人公論」は性欲に悩まされ悶々としていましたが、ここ数号は解脱する勢い。今後「婦人公論」はどこへ行ってしまうのでしょうか。やや心配になってきました。
(亀井百合子)

「婦人公論」

美輪さん、完全にタイの仏像じゃないっすかー!!

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