[女性誌速攻レビュー]「STORY」7月号

バブル前後で引き裂かれる「アラフォー」に、「STORY」が新語を発表

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「STORY」(光文社)2011年7月号

 来るべき電力不足の夏へ向けて、メディアも節電ネタ一色という感じの今日このごろ。人々が「どれだけ減らすか?」という数値目標にばかり目を奪われている中、「STORY」の節電企画はひと味違います。「働く40代の”マドンナカラー”服」は、節電で暗くなるオフィスや街を40代女性が明るくする! という”一周回ってエコ”な企画。すんごいヴィヴィッドなオレンジ、黄色、真っ赤、ド派手ピンクなファッションアイテムをズラリ紹介しています。みなさん、街中で大屋政子先生ばりのピンクワンピを着たアラフォー女性を見掛けても、それは「周りも自分もテンションが上がる=世の中が明るくなる」という壮大な目的のためですから、どうか温かい目で見守りください。それでは今月のラインナップを。

<トピックス>
◎大特集「いいね!」共感時代の夏小物
◎消えてなくなれ! 法令線ケアBest10
◎遺伝子より大切な”親子”のカタチ

■声高に”いいね!”を叫ぶ理由とは

 今月の大特集は「『いいね!』共感時代の夏小物」です。「いいね!」とはFacebookにあるボタンのことで、コンテンツに共感したらクリックするものだとか。「STORY」いわく「共感しあい、つながっていこうという今の世の中の雰囲気は、ファッションにおいても同じ。夏はそれが小物に反映されます」。前半はなんとなく分からなくもありませんが、どうしてそれが小物に反映されるのか? 共感力に乏しいロスジェネ世代の筆者にはさっぱり合点がいきません。

 まず「STORY」のオシャレ二大巨頭、”リアフォー代表”富岡佳子と”DKJ(団塊ジュニア)代表”倉本康子の対談からスタート。唐突に出てきたこの”リアフォー”、どうやらリアルな40代を指すようです。以前は「アラフォー」といえば「=バブル世代」だったのですが、ロスジェネ世代までが40代に突入したことで、「アラフォー」という言葉が持つ意味が複雑になっているということでしょうか。富岡佳子はバッグ好き、倉本康子は「イメルダか!」というほどの靴マニアらしく、それぞれ小物の素晴らしさを語っておいでです。

「自分にぴったりの一足に出会ったときは『私ってシンデレラ!』って思うんですよ」(倉本)
「靴に選ばれる感覚ね」(富岡)
「靴を見ながらビールを飲む”靴見酒”を嗜むので」(倉本)
「バッグや靴は”おしゃべり”ですからね」(富岡)

 先月号で私たちを楽しませくれた「バブルvs DKJ」のような面白さはほとんどないものの、見る者を置いてきぼりにする”うっとり感”はさすがです。気を抜くと己からどんどん遠ざかってしまう「STORY」のうっとり感を、筆者などは毎号手繰り寄せるのに難儀しているわけですが、もしや”共感”というフレーズ多発の理由はそんなところにもあるのかも。つまり、一般読者も「STORY」と自分とのかい離を少しずつ感じ始めているのかもしれないということです。それはご時世的なものもあれば、価値観の違う世代の同居という雑誌事情もあり、薄まりゆく共感を「いいね!」で取り戻そうということかと。逆に言えば新「STORY」としての立ち位置を探るステップでもあると思われる、今月の「いいね!」特集。皆様の目にはどう映りますでしょうか。

■親子を見直す骨太企画

 連載「私たちのCHALLENGE STORY」、今月は里親制度をテーマにした「遺伝子より大切な”親子”のカタチ」です。東日本大震災で多くの震災孤児が生まれている現状を踏まえ、里親制度の在り方を考えています。

 登場するのは、1人の実子と3人の里子を育てる元保育士の女性、不妊から里子を引き取った専業主婦、障害のある里子を育てるシンガーソングライターの女性、7人の子どもを育てる里親ファミリーホームのママ。葛藤と苦悩と現在の気持ちが、ありのままにつづられています。

 「形はどうあれ、子育ての大変さは変わらない」「実子と里子への思いは違うし、実子が特別なのは当たり前。でも一緒に暮らしていけば里子もかけがえのない特別な存在に」。「血の繋がり」という壁にぶち当たりながら、自分なりの「親子のカタチ」を獲得するまでの道のりは、決してキレイごとばかりではないようです。実子のいるいないで関係性が大きく異なるのも、読んでいて興味深いところ。

 3.11以降(本当はそれ以前から始まっていたのかもしれませんが)、「今までのようにはいかない」という覚悟を求められている私たち。特にお受験、イケ旦の出世競争、反目し合うママ友、潤いある生活への渇望を自らのアイデンティティーにして生きてきた女性にとって、その見えない恐怖は放射能と同じレベルで心をむしばむものだと思います。

 現在その真っただ中にいる「VERY」(光文社)には難しくても、ある程度を通過してきた「STORY」には「落ちる」という感覚以外の何かがあるのではないか。このページには、そんな編集部からの希望のようなものがあると思いました。里ママたちの「親の役割は人生のヒントを子供に与えること。決して強制してはいけない」「親からの無償の愛より、子供からの無償の愛が優っているのが親子では?」というメッセージは、”名前をなくした女神”に痛烈に響くはず、です。

 「多彩な家族の形を、社会全体でどう受け入れるか」というまじめなテーマを論じながら、ページの最後に「海外セレブには当たり前の”遺伝子を超えた家族”」なんていって、アンジェリーナ・ジョリーやマドンナなどをバッチリ登場させてしまう緩急の付け方、筆者、嫌いじゃないです。

 社会派ページがある一方で、「タワマン派の白シャツvsテラスBBQ派のカフタン、ホームパーティお招き服に異変アリ!」のような”らしい”企画も滑り込ませるところが、「STORY」の懐の深さ(※タワマン=タワーマンション派のこと)。謎の新語をまき散らしながら、海外シャレブを追い掛けながら、時にシリアスに40代女性の生き方を探り続ける「STORY」。来月号から新編集長を迎え、まさに心機一転アラフォーの”共感”を取り戻すことができるか。これからも血眼で追い掛けます。
(西澤千央)

「STORY」

あの世代のマドンナ好きは、一種の宗教だと思う

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