そしてなぜか芸人が裸に......

シュール過ぎて、会場が一つに! 謎の「離婚式ソング」ライブに潜入

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熱唱するヘチマ流星群

 別々の人力車に乗り、モルタルの一軒家にて、離婚理由を白日の下に晒し、二人で想い出の指輪を叩き割る……以前取材でお邪魔した「離婚式」は、言葉にするに余りあるシュールな空間だった。その後「離婚式」は、TVや雑誌などに大々的に取り上げられ、現在予約待ちの状況だそう。メジャーになりつつある離婚式はまた、新たな需要を生んでいる。離婚式で演奏するにふさわしい曲、離婚式ソングである。かつて「てんとう虫のサンバ」に囃したてられ新郎新婦がキスをしたように、二人が想い出を清算する為のテーマソングも必要なのではないか。別れの物悲しさや恨み節だけではない、新しい「わかれうた」が完成したとの連絡を受け、お披露目パーティーに急遽潜入した。

■2分4秒の意味

 11月22日。世間的にはいい夫婦の日として知られるこの日、我々は下北沢の閑静な住宅地にいた。ここ「下北沢スローコメディファクトリー」で”いい夫婦”のダークサイドとも言えるイベントが開催されるのだ。”離婚式を通して考える理想の夫婦像”並びに”離婚式ソングお披露目パーティー”である。離婚式プロデューサーの寺井広樹氏によると、「離婚式を考えるということは、結婚そのものの意味や本質を考えること。この離婚式ソングライブが夫婦関係を見つめ直すきっかけになり、ますます絆が深まれば」。

 小さなカフェに30人近くの人が詰め掛けた。草食風の男性二人連れ、ギャル系女子、ちょい悪オヤジ、風来坊的自由人、親子連れ……お客さんの層は見事にバラバラ。「ネットの告知を見ていらっしゃった方、現在夫婦の方、あちらの親子連れは離婚式経験者の方です」と寺井氏。参加費1,122円を支払いながら思わずガン見。高校生男子とお母さんが仲良さそうに談笑しているではないか。え、エエ子じゃのう。

 何とも不思議な空気の中、イベントはスタート。現在計55組の離婚式をプロデュースした寺井氏は、離婚式ソング制作の理由をこう語る。「これまでに、ジャンルを問わずさまざまな音楽家の方が自作の別れの歌を持ち込まれ、実際に離婚式で歌ってもらったが、正直、離婚式の曲としてはピンとこなかった。それならば、自分で作ってみようと」。離婚式ソングは演奏時間にもこだわりがある。「現在日本では2分4秒に1組の夫婦が離婚しています。だから曲も2分4秒。曲が終わるころには1組のご夫婦が離婚しているという計算になりますので、曲を聴いていただければ、いかに離婚が頻発しているかご理解いただけると思います」。ちなみに2008年は2分6秒(に一組)だとか。曲の長さは「毎年(離婚件数に合わせて)調整したい」とのことなので、このままいけば完奏はおろかサビに入ることすら難しくなってしまいそうだ。

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へらちょんぺ氏が脱ぐ必要があった
かは、今でも分からない

 寺井氏の離婚式ソングに対する並々ならぬ思い入れは、PVまで自主制作したことにも現れている。今日はそのPVに、仲人ならぬ裂人(さこうど)役で出演している、懐かしのアノ人がスペシャルゲストとして登場。”ボキャブラの白塗り男”へらちょんぺ氏だ。寺井氏は「(離婚とは)裸一貫での再出発だから、裸芸人代表としてぜひ出て欲しかった」とアツい想いを語る。現在は年間100以上の宴席で活躍しているへら氏。テッパンネタ「1秒で服を脱ぐ男」を観客の前で華麗に披露。大事な部分を帽子で隠したまま、自身がいかに愛妻家であるのかを切々と説き、貴重な携帯番号入りのDVDを手売りする姿に、参加者からは嗚咽が漏れるのであった。

■ラプソディ・イン・別離

 離婚式ソングを演奏するのは、バンド”ヘチマ流星群”。前評判では次世代の”くるり”と言われているとかいないとか。この奇妙なバンド名の由来は、「ミスターとチルドレンのような、正反対の概念の言葉をぶつけて名前をつけたかった」から。ヘチマの持つ「取るに足らない」という意味と、流星群の希少性を合わせ「取るに足らないが貴重なもの」がここに完成。オンリーワンのマジックである。

 そんな唯一無二バンド、”ヘチ流”のメンバーは、イケメンボーカル是枝大貴、脅威の地毛ドレッドギターのヤジロベー、下北系アメリカ人ベース&ボーカル泥流(デイル)、キー坊主ことキーボード寺井広樹。作詞は寺井氏、作曲はこの中でただ一人の離婚経験者であるアメリカ人の泥流だ。

「コノ曲ハ、離婚当時ニ作リマシタ。元々、バラードッポイ曲ダッタケド、ポジティブナ離婚式ノイメージニ合ワセテ、ポップナ感ジニシマシタ」

 ついついカタコト風にしてしまったが、泥流氏の日本語はかなり流暢。日本でミュージシャンとして活動している泥流氏は、離婚式ソングの前にオリジナル曲を一曲披露していたが、「イケシャーシャー」だの「アザトイ」だの、日本人でも使いこなすのは難しい言葉が次から次へと出てくる。「僕ネ、変ナ言葉、好キ」だそう。

 ついに、今イベントのクライマックスである離婚式ソングのライブ演奏が始まった。落とされる客電に、人々の期待はいやが応にも高まる。

「手持ち無沙汰で/捻じ曲げたキャップ/旅立ちを前に/やりきれぬ思いを胸に」

 心地よいメジャーコードが会場を包み込む。それを手拍子で迎える離婚式マニアたち。スクリーンには夫婦が様々な葛藤を経て、指輪を叩き割るシーンが流される。

「指輪が壊れた/固唾を呑んだ」

 サビに入る頃には、今日初めて聞いた曲にも関わらず、合唱を始める参加者たち。人々の心を一つにするのに2分4秒は余りあるほどで、一つになった心を共有するのに2分4秒は余りにも短い。ということで、まさかのアンコール。気づけば隣でへらちょんぺ氏が謎のダンスをしている。

「『お離婚ソングがオリコンに?』を合言葉に頑張ります!」

 この盛りあがりに気を良くしたのか、終演後に話を聞くと、寺井氏からは強気な発言が。一方泥流氏は「僕ノ文法、オカシナ所ガアッタラ、適当ニ直シテ下サイネ~」とこれまた完璧にこなれた日本語で謙遜。海を超え、年齢を超え、属性を超え、さまざまな人々が「離婚」の元に集い、笑い、歌い合った今イベント。外は晩秋の小雨。「雨雨降れ降れもっと降れ、みんなにいい人連れてこい」と心から願うのであった。
(西澤千央)

『雨の慕情/なみだ恋』

マジでいい人連れて来て

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