[女性誌速攻レビュー] 「CanCam」12月号

「CanCam」史上最高の広告代理店臭! この時代に「かわいい特集」の謎

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「CanCam」(小学館)2010年12月号

 今月号の「CanCam」(小学館)の大特集は「絶対! かわいくなる魔法」です。文字を見ただけで、早くも危険なニオイが……。大特集に入る前に見ておきたいのが、7月に千葉ロッテマリーンズの西岡剛内野手と結婚した、専属モデル徳澤直子による「私の結婚についてお話します」。皇室か! 長年「CanCam」を支えてきた功労者ではあるけれど、一般的に知名度が低い、徳澤のもったいぶった告白に白けた気分。で、肝心の中身も当たり障りのない感じで、プロポーズの状況も「(一緒にいったグアムのホテルで)バラの花びらで道ができていて、そこを歩いて行くとティファニーの指輪が置いてあって……」と、同誌愛読者をまったく裏切らない”CanCam脳”っぷりに脱帽しました。これも版元の小学館が立ち上げたニュースサイト「NEWS ポストセブン」あたりに転載されるのでしょうか。というわけで、早速トピックからチェックしていきましょう。

<トピック>
◎「絶対! かわいくなる魔法」
◎徳澤直子「私の結婚についてお話します」
◎彼女が「つけま」を外したら

■代理店的思考の循環作用

 今月の大特集「絶対! かわいくなる魔法」は、特集というより、今月号1冊まるまる”かわいい祭り”のようです。むしろ、「かわいい」と書いていないページは記事広告と読み物ページぐらいなもの。キャッチやタイトル周りで使われている「かわいい」「かわいく」という単語をざっと数えてみたところ、300回を超えていました。トビラ&企画コンセプトを語るだけのページが10ページもあるのですが、別の企画や広告ページが飛んだとしか思えない、無駄な空間となっております。

「かわいい」は前向き
「かわいい」は、欲張り。
「かわいい」は、つながり。
「かわいい」はドキドキ。
「かわいい」は、せつない。
「かわいい」はやっぱり笑顔!

 と太字の文字と、モデルの写真がドーンとあるだけなんですよ。反エコの極みです。

 「CanCam」における「かわいい」とは何か……曲がりなりにも長年女性誌の第一線を走り続けている同誌だけに、その分析や「かわいい」の次ステージでも提案してくれるかと期待したのがバカでした。

「どうしてかわいくなりたいんですか?」→「生きるモチベーションのひとつ」
「思わず『かわいい』と言ってしまう瞬間はどんなときですか?」→「赤ちゃんを見たとき」
「すばり! ”かわいい”って何ですか?」→「おしゃれ、仕事、恋愛……自分から何でもトライして楽しむ心」

 素晴らしい! 出版社と広告代理店のターゲットとして完璧な思考回路。まだ大学生とか20代前半のOLがこれらの発言をし、それをまた同世代の読者が読むというのだから、すごい高濃度な循環。そうやって日本は、広告代理店的思考に浸されていくのだと実感しました。

■「CanCam」思考は永遠に

 まだまだ続く「かわいい」特集ですが、男の子、上司、彼ママに聞く「『かわいい』瞬間、『かわいい』習慣」という香ばしい読み物ページがありましたので、ご紹介したいと思います。

 まずは「男の子」編です。女の子をかわいいと思う瞬間は、「アヒル口!!」「ちょっかいを出されたとき」「口に手をあててあくび」ですって。ちなみにかわいいと思う習慣は、「雑誌の占いで一喜一憂している姿」「手作りのお弁当を毎日持参している」「犬の散歩」……。犬の散歩ぉ!? 本気でそれをかわいいと思うのでしょうか。そんな疑問を持ちつものの、女性としてお礼を申し上げるべきですね、「いつまでも女に夢と希望を持っていてくれてありがとう」と。

 「上司編」「彼ママ編」は「男の子」ほど気にしていないので、分量も半分以下のスペースに。その中は、「送別会の幹事を率先して引き受ける」(上司)、「息子の部屋に直行せず、リビングによって世間話をいつもしてくれる彼女はかわいいと思います」(彼ママ)と、都合良く動いてくれる人を「かわいい」という言葉で縛っているようにすら感じました。

 さらには「『かわいい』女の子をつくるマナー」という企画に、「お悔やみのマナー」が入っており、葬式の時でもかわいいを意識しろと言うのかとビックリしましたが、普通のマナー伝授ページでした。よかった。

 そして「かわいい特集」の最後、「『かわいい』の先にあるもの」というページに、「年相応に自分を磨く」「かわいいから発展した個性を手に入れる」という文言を期待したものの、なんと「『かわいい』は連鎖する!」というオチ。もはや「かわいい教」が確立した瞬間を見ました。

 女性誌から「かわいい」の文字が減り、「かわいいカルチャー」がすっかり終焉していたものと思っていたので、「CanCam」が「かわいい」特集を持ってきたことにすら驚愕したのですが、読み物ページを見て納得。2010年のこのご時世でも、男性は80年代の”ぶりっ子”を好きだし、上司は女性を会社員としてではく”女の子”として見ているわけですから。「CanCam」読者、編集部、代理店、そして「同誌愛読者を好きになる男性」の価値観は永遠に不滅だと感じ、背筋が寒くなったところで、今月のレビューは終わりとさせていただきます。
(小島かほり)

「CanCam」

「CanCam」って語るだけ、フェミに思われるから辛いのよ

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