[ジャニーズツッコミ道場]

Sexy Zone、SMAP、TOKIO……椎名林檎のジャニーズ提供楽曲に見る共通点とは?

2023/08/08 13:00
太田サトル(ライター、アイドルウォッチャー)
Sexy Zone・菊池風磨の画像
Sexy Zoneサイドの熱烈オファーにより椎名林檎とのタッグが実現(写真:サイゾーウーマン)

 菊池風磨主演の7月期連続ドラマ『ウソ婚』(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌であるSexy Zoneの新曲「本音と建前」は、椎名林檎の書き下ろし曲だ。

 椎名林檎・東京事変が所属する音楽事務所「黒猫堂」のホームページには、「sexy zone 此処に在りらむ」と題された林檎のコメントが記載されている。

 これは、「初めてのご注文、ありがとうございます」という書き出しの文章で、メンバー4人の声を「こちらの煩悩を駆り立てる罪な銘器揃い」と評し、その魅力を余すことなく詰め込みたいと感じたとつづり、さらには4人のそれぞれの魅力について、丁寧に紹介されている。

 かくしてでき上がった楽曲「本音と建前」は、「食材を買い溜めし過ぎて、開けるたび中から品物が落ちてくる冷蔵庫みたくなっちゃった」とのこと。つまり同曲は、林檎が感じる4人の魅力――「銘器」の良さを存分に引き出し、可能な限りパンパンに詰め込んだものだというふうに受け取れる。

 シングルのリリースこそ9月20日とやや先ではあるが、放送中のドラマではすでにオンエアされている「本音と建て前」。Sexy Zoneメンバーが“椎名林檎”の世界観に丸ごと飛び込み、しかしそれでいて、“椎名林檎”に飲み込まれてもいない。同曲には、“椎名林檎”と“Sexy Zone”のせめぎ合いが感じられ、「パンパンの冷蔵庫」の意味が理解できた気がした。

TOKIO「雨傘」SMAP「真夏の脱獄者」「華麗なる逆襲」――椎名林檎のジャニーズ提供曲のこれまで

 言うまでもなく林檎がジャニーズのグループに楽曲を提供するのはこれが初ではない。

 彼女が初めてジャニーズに楽曲を提供したのは2008年リリースのTOKIOのシングル「雨傘」。リズムもメロディも複雑な構成で、しかもキーの幅も広い楽曲を、当時ヴォーカルを務めていた長瀬智也は見事に歌いこなした。ちなみにカップリングの「渦中の男」も、林檎が作詞作曲を担当している(いずれも編曲は東京事変)。

 12年には、SMAPに「真夏の脱獄者」を提供。アルバム『GIFT of SMAP』収録の同曲は、ファンキーなイントロから始まり、SMAPが得意とするソウルフルな魅力が前面に押し出された作品だ。また、15年リリースのシングル「華麗なる逆襲」も、林檎が作詞作曲を担当しており、ゴージャスな雰囲気を持つポップチューンだと話題を集めた。

椎名林檎にとってのジャニーズNo. 1楽曲は少年隊「stripe blue」

 林檎が手掛けたジャニーズ楽曲について考えるとき、思い出す一曲がある。それは少年隊の5thシングル「stripe blue」だ。

 というのも、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の特番でジャニーズ名曲特集が組まれた際、コメント出演した林檎はジャニーズNo. 1楽曲として、「stripe blue 」を挙げていた。錦織一清、東山紀之、植草一秀は、歌詞や振り付け、歌い分けなどにおいて、それぞれ異なった解釈を行っており、三者三様の個性を際立たせながら、それでいて三位一体の輝きを放っている点を評価していたのだ。

 この「stripe blue」に対する評価は、彼女がジャニーズに曲を書く際、常に意識していることなのではないか。「雨傘」では、ヴォーカリスト・長瀬、そして曲を演奏するTOKIOメンバーそれぞれの演奏の個性が発揮されながらも、楽曲としてのまとまりに秀でていたし、SMAPの「真夏の脱獄者」に関しては、林檎本人が、「stripe blue」を念頭に置いたとも語っていた(そもそもSMAPは、メンバーの個性の際立ち方においては、ジャニーズ屈指のグループだったが)。

 そして、林檎は今回、Sexy Zoneの「本音と建前」でも、同じことをしようとしているように思う。冒頭に示した通り、林檎はSexy Zone4人のメンバーの声の個性を大きな魅力として感じているし、これは少年隊を評価するコメントとも通ずるものがあるからだ。

「雨傘」の演奏に四苦八苦するTOKIO兄さんたちが懐かしい
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