カルチャー
[女性誌レビュー]「婦人公論」2020年4月27日号

まるで戦時中の「ぜいたくは敵だ!」! 「婦人公論」90歳絵本作家のインタビューを疑うべき理由

2021/04/26 22:52
島本有紀子(ライター)

 続いて気になったのも、特集内のインタビュー。絵本作家・甲斐信枝さんの「90歳の絵本作家、大切なことは草や虫たちが教えてくれた」です。

 1930年生まれの甲斐さんは、身近な草花や虫を描く現役の絵本作家で、「戦前の日本人には伝統的な美意識がありました」「両親は子どもの前でお金の話なんてひと言も言わなかった」「極端にいえば、金銭というものは人を卑しくさせる(中略)でも今はお金の価値観も美意識も変わってしまった」と嘆いておられます。

 お金を増やすために「(現代人は)心を売っている」、「人間の心を喰うことによってお金が太る」とまで言っているんです。1940年頃から掲げられた戦時中の「ぜいたくは敵だ!」精神が、沁み込んでいるように思います。

 ここで思い出したのが、昨年の「VERY」(光文社)10月号での作家・大塚英志氏の言葉。「VERY」の企画「アフターコロナの世界をひらく言葉」内で大塚氏は、戦時下の女性たちは「『日々の暮らしを工夫しながら楽しむ』ことを、ある種のエンターテインメント的に与えられ」、「知らず知らずのうちに戦時体制に巻き込まれ」たと指摘し、コロナ禍で再び注目を浴びている「ていねいな暮らし」的な物への不信感をつづっていました。

 年長者の知恵には学ぶべき有難いものが多いのは事実とはいえ、その知恵の背景を、念のため疑うこともしてみたいところです。

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