カルチャー
『統合失調症にかかりました』著者・さいこさんインタビュー

【『統合失調症にかかりました』さいこさんインタビュー】病気になって失ったもの、得たもの

2020/08/20 12:30
さいこ(マンガ家)

――発症してからさまざまな葛藤を経て、旦那さんのひとことで病院にかかることになりましたが、自分の体に異変が起きる中、医療にかかることはハードルが高かったのでしょうか?

さいこ ハードルが高いというか、「実際に起こっていることだから病気のわけがない」と思い込んでたので、病院にいくという発想自体がありませんでした。そんなことよりも、どこで命を狙われるかとか、誰が犯人で何が原因でこんな変なことが起こってるのか突き止めないと……という考え方だったので。「君は病気だよ、それは全部病気のせいなんだよ」と言われても信じることはできませんでした。むしろ「なんでこんなに必死に伝えてるのに信じてもらえないんだ」と絶望するし、どんどん人間不信・疑心暗鬼になっていく一方でしたね。なので、「君の言う通り病気じゃないのかもしれないし、本当に病気のせいっていう可能性もあるから、その可能性をまずつぶすために病院に行こう」といわれてようやく医療にかかることになりました。

――見えないものから病名がついてもなお、自身の状況を受け止めきれない様子もリアルに描かれていましたが、病気と「向き合おう」という大きなきっかけになったのは何が理由だったのでしょうか?

さいこ ずっと半信半疑でした。病名を診断されるけど、そもそもこのお医者さんは真実を言ってるのか……? と。もしひとりで生活していたら、薬も飲むのをやめていたと思います。当時、薬をのんで、病院に通うこを「これだけはちゃんとするって約束して」と言われていたため、しぶしぶ続けていました。なので、自分でちゃんと「向き合おう」としたことは一度もありませんでした。しぶしぶ飲んでいた薬が効いてきて、回復期に入ってからくらいから「これは病気なんだな」と認識できるようになったような気もしますが、回復期の記憶は曖昧で、いつの間にか病気だったんだなと認識でるようになったという感じでした。

『統合失調症にかかりました』4_おさななじみと私の話より

――旦那さんの存在が本当に大きかったんですね……。旦那さんだけでなく闘病中に支えてくれた幼馴染とのエピソードが収録されてますが、さいこさんにとって二人はどのような存在ですか?

さいこ 当時、私が統合失調症であることを話していたのはこの二人だけでした。特に毎日一緒に生活をしていた旦那さんにはたくさん迷惑を掛けました。ちなみに旦那さんと幼馴染は少しだけ似てるんです。病気の時の私も、そうでない時の私も両方知ってるのに、いつも通りそばにいてくれたり、話してくれたり、変わらないでいてくれるのが本当にうれしかったです。見えないところでサポートしてくれてたり、心配してくれたり。そういうのってどんな言葉をかけられるより、響くんです。ずっと特別な存在です。幼馴染は「近くにいたら毎日楽しいだろうな」とつぶやいたら、本当に引っ越しまでしてくれたんですよ!! そんな行動的なタイプじゃないのに(笑)。本当に愛を感じました。

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