カルチャー
弁護士・清水陽平氏インタビュー

はあちゅう氏の「血クレ」反論は“論外”――ネット中傷対策の弁護士が「炎上有名人」のSNS投稿を斬る

2020/03/25 11:40
安楽由紀子

――はあちゅう氏の「血液クレンジング」をめぐる炎上(※2)についてはいかがでしょう。

清水 はあちゅう氏の行った反論に関しては、申し訳ないのですが「論外」です。はあちゅう氏の反論には、「血液クレンジング」に関する客観的証拠が何も記載されていないので。また「BuzzFeedNews」の記者に対して批判ツイートをした件も、記者が「そのような発言は一切していません」「揶揄することなどあり得ません」と冷静に反論したことによって、結果的に、はあちゅう氏が解釈を間違えていたであろうことが、浮き彫りになってしまいました。

(※2)昨年、「血液クレンジング」に対し、「医学的に根拠がない」という批判が巻き起こった際、はあちゅう氏が、2012〜13年に、ブログで「血液クレンジング」の体験談を何度も紹介していたことが発覚。「医学的裏付けのないものをステマしていたのでは」と炎上に発展した。その後、はあちゅう氏は「BuzzFeedNews」のインタビュー(19年11月10日付「はあちゅう、血液クレンジング拡散を謝罪『ステマではない』『何も信じられない』」)で、ステマではないとしつつも、「裏どりのできていない健康法を安易に広めてしまったことに対して申し訳ない」と謝罪したが、今年2月10日にTwitterで「その後、いろいろな立場のお医者様に話を聞く機会があり、病気を『治療』できる標準医療ではないけれど、『予防』医療の観点では部分的効果が認められ、『ニセ医療』ではないと断言する方にも複数お会いしました」と、批判に対する反論と取れるツイートをして再炎上。加えて同日「BuzzFeedNews」の取材について「『取材を受けるのは炎上を利用した売名行為ではないですか?』と聞かれたのはびっくりした&悲しかった。依頼したのそっちなのに…と」と記者を批判し、当人から「そのような発言は一切していません」と反論された。

――SNSでは、専門知識を持つ医師からも批判の声が上がっています。そうした医師に対して、はあちゅう氏が「『はあちゅう嫌い』が先にあって、私が医学的根拠に乏しいことをうっかりつぶやくと『はあちゅうサンガー!!』って嬉しそうに騒ぎ出す医者クラスタも嫌い」(2月10日)というツイートをし、またもや非難の嵐になったのですが……。

清水 批判している医師側は、医学的根拠のない治療法を拡散することに対し、善意で警鐘を鳴らしているだけであって、個人的な「好き嫌い」の感情で言ってるわけではない……客観的に、そう見えると思います。ただ、医師たちの中には攻撃的な言い方をする人もいるので、はあちゅう氏が不快に思う気持ちもわからないではありません。しかし、そうした専門家の指摘よりも「自分のほうが実は詳しい」と受け取れる姿勢でツイートしているので炎上が収まらないのでしょう。

――ちなみに、この騒動の最中、はあちゅう氏が「去年ある会社に『旦那観察日記』グッズ化のご提案を頂いて、デザインをお願いしたら出てきたのがこれで、これはやばいと思いました」と、自著『旦那観察日記』(スクウェア・エニックス)のキャラグッズデザインの“ボツ案”をTwitterにアップ。その後、「気持ちをいろいろ言ったら、気が済んだのでツイートいくつか消しました」と削除しています。これもネット上で大きな批判を呼びました。

清水 それは、はあちゅう氏がデザイナーの著作権を侵害している可能性がありますね。著作権は、権利自体を譲渡していない限り、基本的にはデザインをした人が持っています。通常、サンプルとして上がってきてボツになったデザインに関しては、はあちゅう氏に権利が譲渡されていたり、また著作権者と「自由に使用可能」という契約を結んでいるケースはほとんどないと思うので、デザイナーがはあちゅう氏を訴えれば勝ちます。削除しても権利侵害があった事実は消せるわけではありません。

――ダルビッシュ氏(※3)はいかがでしょう。

清水 ダルビッシュ氏の「レスバトル」を見ていると、一般人と有名人の「互いの認識」のギャップが、炎上を発生しやすくしているように思います。というのも、一般人は有名人のことをよく知っているため、友達ではないのに「友達感覚」で話しかけてしまう面があるものの、有名人からすると、突然知らない相手から馴れ馴れしく話しかけられたと感じ、その認識のギャップが炎上の火種となる。ただ、この事例について言えば、ダルビッシュ氏の主張は客観的に見て「そこまで批判されなければいけないことなのかな」と感じますし、特に問題があるようには思いません。

 ちなみに、有名人が炎上を避けたほうがいいのは、炎上によって仕事などに悪影響が及ぶからですが、彼はスポーツ選手であり、実力で勝負する世界の人なので、よほど倫理的に問題がある発言でない限りは、炎上による悪影響はないと思います。

(※3)ダルビッシュ氏は、Twitterにて一般人ユーザーと日常的に「レスバトル」をしていると注目を浴びている。19年11月7日、少年と撮影した写真をアップしたのだが、少年を「ダルビッシュ氏の息子」と勘違いした女性ユーザーからリプを受け取ると、「はい?」と返信。それを見た別のユーザーが「そんな強い口調で言わなくてもいいのにはい?とか」と批判すると、「はい?のどこが強いんでしょう笑」「訳の分からない価値観を押し付けるのはやめてください」「わざわざ俺のTwitterにまできてクソみたいなことをわざわざ言いに来る人に黙れって言ってなにが悪いんだよ笑」などと怒涛の反論を展開した。

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