カルチャー
【連載】紫帆ママが見た「きょうのクソ客」第6回

セクハラは「脳の病気」!?  異常な性欲おじさんが、1年後“真人間”に変化したワケ

2018/06/08 15:30

(前回はこちら) 

どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――


出禁ギリギリ! 性欲たぎる”セクハラおじさん”

「ここ、カラオケあるの? 1曲いくら?」

 そう言いながら入ってきたおじさんは、たぎる性欲がオーラとして可視化されているようでした。還暦前にしては少々可愛らしいチャイナ・ブルーを飲みながら、カラオケも歌わず、わたしを質問攻めにしてくる性欲おじさん。

「エッチな顔してるね。AV出てた?」

「いくら出したらエッチしてくれる?」

「こういう店に1人で来る女の人って、エッチ誘ったらすぐしてくれるのかなあ?」

 すべての発言に「エッチ」という単語を入れずにはいられない病気かなんかでしょうか。ほかのお客さんとの会話などおかまいなしに、大声でたたみかけてきます。オーセンティックなバーであれば、即出禁レベルでしょう。こちらとしてもやや辟易して、「どこの店でもそんな調子なんですか?」と聞いてみると

「そうなんだよ、俺、性欲がすごいんだよ! ストリップ大好きでよく見に行くんだけど、一度、ポラの撮影(注:ストリップでは公演後にストリップダンサーさんのポラロイドを撮ることができます。1枚1,000円ほど)で嬢のオ××コ触ろうとして、劇場出禁になっちゃったんだよ!」

と一切悪びれることのない強制わいせつ未遂告白。この正直さが、わたしの店ではギリギリ出禁にならない点でもあるのですが……。

 それからというもの、週1ペースで通ってくるようになった性欲おじさん。毎度、初回と同様のテンションかつ大声で「エッチしたい!」「エッチさせて!」「エッチできるかも!」とまくし立てるため、落ち着いてグラスを傾けたいお客さまは彼が来ると撤収してしまいます。それを補って余りあるほど飲み代を落としてくれればいいのですが、クソ客の御多分に漏れずケチ。お酒もさして強くないのでしょうが、ロングカクテルかビールを1~2杯。「1杯、いただいてもいいですか?」と水を向けても、自分が飲んでいる瓶ビールを少し分けてくる程度。何かやらかしたらこれ幸いと引導を渡してやる――機を窺っていたところ、ある時期からぱったりと来店がなくなりました。

 ほかにセクハラターゲットでも見つけたのだろうと、しばらくは存在自体を忘れ平穏な夜を過ごしていました。が、1年以上たったある日、性欲おじさんは再び姿を現したのです。

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