カルチャー
『アラフォーの傷跡』著者・亀山早苗さんインタビュー

“アラフォー独身女性”は、なぜ生きづらいのか? アラフィフの亀山早苗さんに聞く

2018/03/09 15:00

 そんな亀山さんがインタビューしたアラフォー女性15人は、例外なく揺れ動いている。不倫の恋に惑い、あるいは母との関係に悩み、あるいは借金や親の介護といった重いものを背負い続けることに疲れ果てている。程度の差こそあれ、誰もが自分の人生に納得していない。

 同世代の女性なら、そんな彼女らに多かれ少なかれ共感するのではないか。筆者自身、仕事もプライベートもそれなりに充実していると思いながらも、油断すると「世間並みの幸せから外れている」という思いが心の隙に入り込む。正社員として働き、結婚していて子どもにも恵まれ、なんならマンションぐらい購入している……そうでない人生を選んできたのは自分であるにもかかわらず。

「15人の女性たちは、“はみ出てしまった自分”に納得していないですよね。そんな人生を生きていくすべを身につけるよりも、“世間並み“になることを望んでしまう。見ていて、歯がゆく感じてしまうこともありました」

 世間並みの幸せを得られる一歩手前までいくと怖くなってしまうのか、3人の男性と婚約しては破棄することを繰り返した女性。正義感が強いあまり小さな不正も許すことができず、融通が利かない自分ではなく世間のほうがおかしいのだと、かたくなに信じ続ける女性。悪いことや間違ったことをしたわけでもないのに、なんとなく生きづらい、そんな状況に彼女らを追い込んでいるものは何なのか?

「成功体験が少ないのかもしれませんね。それが皆無だったわけではなく、ささやかなことでは満足できないから、成功を成功と感じられない。誰から見ても『すごい』『すてき』と思われる“きちんとした幸せ“じゃないと自分に納得できない、という傾向を現在のアラフォー女性に感じました。だから、自分に自信がない。私はバブル世代なんですけど、同世代の女性たちはだいたい心のどこかで『何かあっても、なんとかなる』『生きていける!』と思っています。その自信は根拠がないものですが、そのぐらい開き直ったほうが、『今日はおいしいお肉を食べれられたから幸せ』と日々のささやかなことに満足できるんですよ」

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