カルチャー
漫画家・古泉智浩さん×エッセイスト・しまおまほさん対談(後編)

子育て中に生じる“焦り”の正体とは? 古泉智浩&しまおまほが語る「親」という存在

2018/01/13 15:00

『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(イースト・プレス)

――ほかに、利用してよかった育児支援施設はありますか?

古泉 僕が住んでいる地域の役場の隣にある施設は、遊び道具があったり、「みんなで歌を歌いましょう」という時間があったりして、よかったです。預けるというより、保護者も一緒なのですが、保育園以外の時間で、家にずっといるのに飽きたときに利用していました。

しまお 私は演劇を鑑賞した際、劇場についている託児施設を使ったことがあります。

古泉 それは無料なの?

しまお 2,500円くらいかかりました。演劇のチケットにプラス2,500円と考えると結構な出費ですが、一緒に劇場まで行けるのはよかったです。利用者はずいぶん少なかったですけど。調べると、チケットサイトが運営している無料の託児サービスもあるようですね。

 行政の施設でいうと、区のベビーマッサージ講習に行ったことがあります。しかし実際は、講習は15分だけで、残りの1時間半は「みんなでおしゃべりをしましょう」という感じでした。住んでいる地域ごとに席が決められていて、「あそこのスーパーいいよね」といった、共通の話題を出しやすくされていました。孤立する母親をつくらないよう手厚く取り組んでいるんだな、と思いました。私は途中から参加したので、すでにできあがっている20代のママたちの輪に入れず焦りました(笑)。

古泉 うちも役所から保健師さんが来ましたよ。でも、当時は里親初心者だったから、虐待をしていないか監視されているのかなと疑心暗鬼になってた(笑)。

しまお でも、みんなスタートは一緒ですからね。私も子育て素人だったし、オムツ替えを練習しても、実践すると全然違ったりする。

古泉 女性は10カ月かけてお母さんになるけど、僕ら夫婦は(「里子を預かってくれませんか?」と連絡があってから)1週間で親にならなければなりませんでした。

しまお う〜ん、でも全然自覚はありませんでした。ただおなかが膨れていって……という感じで。そして、産んだ直後に「あ、これからずっと一緒なんだ、終わりがないんだ」と思ったら、ちょっと怖くなりました。産むのがゴールかと思っていたら、違った。

古泉 重荷みたいに感じたんですか?

しまお 重いと思いました(笑)。生まれたからには、死ぬってことじゃないですか。その重みが怖いというか……。友達の中には、「生まれた子どもの顔を見たら『大好き! 可愛い!』って幸せオーラしか出ないよ」と言っている人もいましたが、私は全然。「ゲッ、ヤバイ!」って思いました(笑)。

古泉 真面目なのかな。

しまお 真面目なのかもしれない。育児についてはサボったりもできるけど、責任をサボることはできない、と思ってしまって。

――入れる保育園を探す「保活」に取り組んでいる方も多いですが、お2人は、保活には苦労されなかったんですか?

古泉 僕が住んでいる地域は待機児童1人なので、特には。

しまお 周りではいましたね。私、病院も、産む1カ月くらい前になったら適当に探せばいいかと思っていたのですが、着床した段階で、大きい病院に連絡して予約する人もいるらしいです。妊娠してあまり間もない時期なのに、「産む病院をまだ決めてない」って言ったら「ヤバイよ」と言われてしまって……。

古泉 もし、決めてなかったら、怪しげな病院に回されるんですかね?

しまお どうなんでしょう。36歳で一応、高齢出産だったから、何かあったときのためにとりあえず大きい病院を選んだのですが、いま考えたら、近所の病院でよかったんじゃないかなと思います。

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