カルチャー
湯山玲子氏インタビュー

美容アカウントの異様な熱狂――Twitterで“美人になりたい女”の権力争いが勃発する理由

2017/11/12 17:00

 そんな異様な盛り上がりを見せる美容アカウント。「私もかなりのメイク好きなんですよ(笑)」と語る著述家の湯山玲子氏は、このブームをどのように見るのだろうか? 湯山氏はまず、実は日本人は“美容意識が高い”点を指摘する。

「先日、ヨーロッパを訪れたとき、化粧品などが売っているドラッグストアのようなお店に入ったところ、驚くべきかな、なんと化粧水が置いてないんですよ。保湿アイテムも、棚に数本あるだけ。ドレスアップ時やデート以外はフルメイクもしないしね。それに比べると、日本は異様ですよね。マツキヨの棚で、化粧水だけで一体どれくらいあるのよ? という感じ」(湯山氏、以下同)

 当然、ヨーロッパにも美容意識の高い人はいるだろう。しかし、日本のように、誰もが気軽に入れるドラッグストアのような場所には、美容アイテムが集まっていないというのだ。「女は美しくあった方がいい」――日本女性の多くが、そういった価値観の上に立っていることが浮き彫りになる。

「日本人女性は、『みんなと一緒でいたい』という思いを持ちつつ、『共通の価値観上で、ちょっとだけマウンティングしたい』といった面を持っているように思います。そもそも日本では、『マウンティングはいけないこと』とされ、実力で上に行く人物を、嫉妬で引き摺り下ろすようなところがある。さらに現在、世の中が不景気なので、上に行くようなチャンスすらない。ただ、そんな中でも、ちょっとだけ『あなたと私は違うのよ』というのを示したいという欲望があるのではないでしょうか。そういった女の一面を、美容アカウントには感じますね」

 なぜ、こうしたマウンティングのネタに美容が使われるのだろうか。湯山氏は、「私の青春時代は、まさに差異の時代で、『人と違った方がいい』とされ、ファッションで違いを出そうとしていました。今は、むしろ個性に繋がるような差異を嫌がる。ファッションはお金がかかるし、あまりにファッショナブルになると、周りから引かれて、グループを追放されてしまう」と述べた上で、「美容は、ファッションに比べて手を出しやすい」と分析する。

「美しい女という存在は、メディアなどから、みんなに共通の価値観がある、ということが重要なのです。そこを全員が信じているわけだから、マウンティングがしやすい。化粧品は値段的にお手頃だし、お金ではなく、努力で美しくなることもできるので、誰でもそのマウンティングに参戦できるんですよ。それに、自分の顔と向き合ってきれいになっていくのを実感でき、他人から称賛され、話題の中心になれるのは快感なんでしょうね。本当に、日本人って向上心が大好きなんですよね(笑)。あと、『女は美しくあった方がいい』『若くて綺麗な女は最強』という、古くからあって、今も廃れていない価値観が根付いているのもポイントです」

 確かに美容アカウントを見ていると、メイクを「自分の個性を表現するもの」ではなく、「美人になるためのもの」と認識しているきらいがある。そんな美人になりたい女たちがTwitterに集まり、その中でヒエラルキーが形成されるのだ。

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