カルチャー
映画『作家、本当のJ.T.リロイ』主演ローラ・アルバートさん、インタビュー

「SNSで自分を装うことは、安心感にも中毒にもなる」世界を騙した“天才作家”が嘘をついた理由

2017/04/09 15:00
ローラ・アルバートさん

 女装の男娼である自身の過去を綴った小説が大ヒットして時代の寵児になったJ.T.リロイ。処女作は多くのセレブに絶賛され、2作目の『サラ、いつわりの祈り』はアーシア・アルジェント監督・主演作として映画化もされた。ところが、実はJ.T.リロイの正体はローラ・アルバートという女性で、2作とも自伝ではなくフィクションだった。この大スキャンダルの要の人物ローラ・アルバート本人が一連の騒動の真実を打ち明けたのが、ドキュメンタリー映画『作家、本当のJ.T.リロイ』。当時J.T.リロイのマネジャーを装っていた彼女は、なぜそのような嘘をつき続けたのか。来日したローラ・アルバートに映画で語られる真相の裏側をインタビューした。

■小説を書くことで、幼い頃からの悲劇を乗り越えようとした

――『作家、本当のJ.T.リロイ』では、ローラさんの過去とJ.T.リロイ誕生と熱狂、そして本当は実在しないことをニューヨークタイムズの記者に暴かれるまでが映し出されています。ローラさんは、完成した映画をご覧になって、どんな感想を持たれましたか?

ローラ・アルバートさん(以下、ローラ) 体が震えました。1回見ただけでは消化できないと思いましたね。私に、この映画の編集権はまったくなかったので、ジェフ・フォイヤージーク監督に、すべてを委ねたのです。私の持っている資料は、すべて彼に渡しました。それだけ監督を信頼していたのです。私がしたことが本当に悪いことならば、きっと映画には、悪い人として映し出されていると思いました。でも、この映画は、モラルを問う映画ではありません。私は欠陥人間で、虐待によるダメージを受けましたが、小説というアートを使って、自分を癒やそうと試みたのです。

 アメリカでは、私みたいな体験をすると、無力感を打ち消すための殺人に走る人もいるでしょう。でも、私は小説で、自分の無力感を打ち消そうとしました。それなのに、まるで殺人でもしたかのような扱いを受ける結果になって……。しかし、日本では、私がJ.T.リロイというアバター(化身)を使ったことを理解してもらえると思います。

――なぜ、日本だと理解してもらえると思うのですか?

ローラ アバターは、ドレスアップと同じです。日本では男性が女性的なファッションをしたり、その逆もあったり、そういうことに対する適応力があると思うのです。日本人は身動きできない現実に直面したとき、想像力を使って乗り越える方法を知っています。それがアートであることも理解しているので、そういう力を使って表現したり、仲間を増やしたりすることへの敬意があると感じるのです。

アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト