カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」8月23日号

「婦人公論」“家族の死”特集が示した、悲しみだけではない「死」の多面的な力

2016/08/21 16:00
「婦人公論」8月23日号(中央公論新社)

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「家族の死―いつか来るその日」です。キャッチには「看取り、供養、喪失感と向き合うために」とあります。死者に思いを馳せるこの時期だからこその企画。

 冒頭「スピリチュアル対談」と題して江原啓之が登場しています。結婚1年で、妊娠中の妻に進行性のがんが見つかったアナウンサー・清水健にスピリチュアルの観点からアドバイス。出産後、本格的な治療に乗り出そうと受けた検査で医師から告げられたのは「余命3か月」の宣告。「おそらく今日の対談は、奥様のお取り計らいでしょう」という江原が、自身の口から亡くなった奥様の気持ちを語ります。余命を本人に告げなかったこと、効果が期待できないのにつらい抗がん剤治療を続けさせてしまったこと……家族の突然の死は後々まで遺族を悩ませ後悔させるのだとあらためて感じます。

 だからこそ、江原のような「スピリチュアル」と銘打った商売が成り立つというのもまた事実。「自分たちの選択は間違っていなかった」と誰かに言ってほしい。その「誰か」として一番説得力があるのが、いわゆる霊的能力のある人(ここでいう江原)なのでしょう。「死」は故人本人のものではなく、遺された家族のものでもあるのです。

<トピックス>
◎特集 家族の死―いつか来るその日
◎眠るように旅立った永六輔は、死んだと気づいていないかもしれない
◎夢か幻か!? 目の前に亡き親が

■「死」は故人のものではない

 今回の特集ではさまざまな「死」について、遺族が語っています。先ほどのアナウンサーのような突然すぎて混乱の渦中にある「死」、戸川昌子と息子NEROのような親子の確執をゆるやかにほどく「死」、柳生博のような子が親よりも先に逝ってしまう「死」……。

 「眠るように旅立った永六輔は、死んだと気づいていないかもしれない」では、今年7月に亡くなったタレント・永六輔の2人の娘(エッセイスト永千絵×アナウンサー永麻理)が父親の死について語っています。「テレビに映っているのは“永六輔”であって、私の父“孝雄くん”(編註:永さんの本名。家族は父親のことを“孝雄くん”と呼んでいた)とは違うから」(千絵)というように、テレビで連日放送される「永六輔死去」のニュースをどこか他人事のように見ていたという娘たち。テレビやラジオの草創期からマルチな才能を発揮してきた父親は、どんな最期を迎えるのがふさわしいのか。対談を読むと、本人よりも家族の方がそのことを意識していたのだとよくわかります。例えばこんなやり取り。

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