カルチャー
『医者のたまご、世界を転がる。』著者・中島侑子さんインタビュー

「日本で報じられる印象と現地の状況は違う」 世界一周した女性医師が語る、一人旅の魅力と注意点

2016/07/04 15:00

■旅行中は、家族や友人との連絡をマメにしたほうがいい

――本書に書かれているのはアフリカや南米など、女性一人で行くには比較的ハードルが高そうなところが多いですが、行き先はどのように選んだのですか?

中島 絶対に行こうと思っていたのが、中東、アフリカ、中南米です。普段、日本から気軽に行けない国を選びました。旅をしていて、日本とはかけ離れていればいるほど、私にとっては刺激的。だから、ヨーロッパはよかったんですけど、私の中では上位には来ない。毎日ドラマチックな事件というか、面白いことが起こって、日本と全然文化の違う場所が好きなんです。それで、女性一人旅としては珍しい国にも、わりと足を運んだ旅になりました。

――たくましいですね。でも、女子旅ならではの苦労とか、困った点はありますか?

中島 夜の一人歩きには、気をつけていました。最悪、何か危険なことがあった場合、お金は渡すし、貴重品も渡すけど、女性ってそれだけではない、ということは常に思っていました。私は何もなかったんですけど、性暴力など、身体的な被害に遭う可能性もあります。

 アフリカはHIV保有率が高く、中でも4人に1人が感染者といわれている国があって、そこに行った時、例えば10人乗りのミニバスに乗ったら、「この中に2人はHIV感染者がいるかもしれないんだ」と、すごくリアルな現実を考えました。もし、ここで喧嘩でも起こって、万が一殴られて血が出たら、血液から感染する可能性もあるし、そういうことを考えると怖くなりました。実際は親切な人ばかりで、何の問題もなく旅は終わったんですけど、改めて世界にはいろんな国があるなと思いました。

――海外旅行中、健康や病気で気をつけるべきは、どんなことですか?

中島 水には気をつけていました。ミネラルウォーターは常に買うようにしています。それから、蚊にも気をつけたほうがいいです。デング熱やジカ熱、マラリアなどは蚊が媒介して感染するので、私は常に長袖・長ズボンでいるようにしていました。それだと日焼け防止にもなります。蚊除けスプレーは日本のものでは効かないこともあり、現地の製品のほうが効果は高いと思います。でも、海外のものは強すぎて、肌がかぶれることもあるので注意が必要です。薬は現地でもたいていのものは買えますが、短期の旅行なら、飲み慣れているものを日本で買っていったほうがいいですね。

――最近は、世界中どこへ行っても、テロに遭う可能性が高くなっています。海外旅行に行く時に、安全面では、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

中島 私がパキスタンに行った時は、2カ月ネットが使えなくて誰にも連絡できなかったので、その間にテロがあったことも知らなかったんです。私が滞在していたところからは離れていたのですが、日本のニュースなどで報じられる印象と、現地で見ているものとは状況が違うので、旅行中は、無用な心配をさせないためにも、なるべく家族や友人との連絡はマメに取ったほうがいいと思います。

中島侑子(なかじま・ゆうこ)
救命救急医。旅行医学会認定医。1982年、東京生まれ。2007年3月、山口大学医学部医学科を卒業し、同年4月より東京都内で研修医として勤務。09年4月、研修医修了後、世界一周旅行に出発。12年8月の帰国後、全国の学校やホール等で講演会、写真展を多数開催。観光庁の依頼で「若旅プロジェクト」DVD作成にも従事。13年10月から東京の大学病院で救命救急医として勤務。15年4月からは沖縄で救命救急医として働きながら、日本初のNPO運営による救急ヘリに従事。16年1月からは長野の病院で救急立ち上げに従事。また、旅行医学会認定医として、原稿の執筆、海外赴任や旅行のためのアドバイスも行う。ブログ

最終更新:2016/07/04 17:06
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